新型万能細胞「STAP細胞」論文の不正問題で、筆頭著者の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の理化学研究所への攻勢が続いている。同氏は理研の調査委員会から打診されたヒアリングを断ったかと思えば、30日には調査委に質問書を提出した。


 質問書では、調査委が認定した小保方氏の「捏造(ねつぞう)」「改ざん」の定義を明らかにするよう要請。代理人の三木秀夫弁護士は「小保方さんの論文が不正なら、かなりの人もこれに当たると思う。定義を慎重に議論すべきだ」と訴えている。もはや科学的議論というより法廷闘争を見すえた戦術となっている。


 小保方氏サイドの攻勢に、理研内部は真っ二つに割れている。この日、都内で研究不正再発防止のための改革委員会が開かれたが、最終報告はまとまりそうにない。


 小保方氏が所属する理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)では、自己点検と称した内部調査が行われているが、この報告書待ちなのだ。


 岸輝雄改革委員長は「CDB内部で割れているというか、法廷で争っても困らないくらいに事実を積み上げるやり方をするか、単純に今回起きた不祥事を受けて何をどう変えるかに絞るかという2つの考え方があって、報告書がまとまらないようだ」と指摘。理研内部で分裂が起こっているのだ。


 さらに、自己点検をどこまでやるかでも揺れている。一部報道によると、CDBの竹市雅俊センター長が「論文の画像などに複数の疑問が寄せられていることは把握している。すべてを改めて調査することにした」と、調査委では調べていない疑惑についても独自調査すると話したという。


 これには理研が反論する。広報担当者は「竹市氏に確認したら『そんなことは言っていない』と主張しています。調査委に任せていることなので、独自にやるなんてことはあり得ません」。
 騒動の終結はまだまだ先になりそうだ。