高額補聴器の購入トラブル急増

2014年05月01日 09時00分

佐村河内守氏

 全ろうを詐称し、多くの人を欺いた作曲家・佐村河内守氏(50)とゴーストライター新垣隆氏(43)による一連の大騒動は、聴覚障害に悩む人々やその関係者も傷つけた。騒動発生からやがて3か月。難聴者が高額な補聴器の購入トラブルに巻き込まれる事例が急増しているという。

 国民生活センターの発表によると、補聴器の契約をめぐるトラブルの相談が全国の消費生活センターに寄せられ、毎年増加傾向にある。2003年度の237件が、12年度には529件と10年間で倍増している。

 補聴器は専門医による診断を受けた後の購入が推奨されているものの、処方箋は必要ではない。意外にも誰でも買えるものだ。ただし、聞こえ具合に合わせる補聴器のフィッティング作業は、プロの手でも難しい繊細な作業だ。しかも、左右の耳で聴力が異なることも困難といわれる理由だ。

 国民生活センターの担当者は「本来、専門医や専門技能を持った者の診断を受けて、さらにフィッティングによって補聴効果を高めるものです。しかし、ネット通販で購入される方も多いのが実情」と話す。

 購入者に正しい知識がないのも契約トラブルが起きる原因の1つだが、相手の弱みにつけこむような悪質な販売手法をとる業者も存在するようだ。トラブルに巻き込まれた契約者の8割が70代以上で占められる。こんな事例もある。耳の悪い高齢女性が、自宅に訪問販売にきた業者から50万円弱の補聴器を勧められて断りきれずに購入した。しかし、効果が感じられなかったために医者にいくと「聴力がすっかり減退していて、補聴器は無駄」と言われた。本来は必要のないものを買わされたわけだ。

「耳が聞こえにくいので判断力が低下している高齢者も多く、よく理解しないまま契約している。認知症の方もいた」(同担当者)。いわば難聴者をカモにする業者がいるとみられる。

 高額なものになると1個50万円。両耳で100万円近い値段になる。より小さなものになるほど高額だが「かといって、高齢者は小さい補聴器をなくしてしまったり、小さすぎて扱いづらかったりする」(同)ので、小さければよいというものでもない。返品しようにも「体の穴に一度入れたものだから受け付けない」と拒否されるケースもあるという。トラブルを避けるためには、事前に専門医の診断を受けてからフィッティングをしたうえで、さらに1~2週間の試聴期間を設けている店で購入することだ。