60過ぎて新婚気分って何だ? みんなの党は24日、渡辺喜美前代表(62)の辞任理由となった、大手化粧品会社・DHC会長からの8億円借り入れ問題について調査報告を行い、渡辺氏の秘密を暴露した。法律に触れるような点はなかったと結論づけたが、渡辺氏が離婚していたことをさりげなく明記。本人が送った恥ずかしすぎるメールも公にされた。潔白を証明するためのなりふり構わぬ情報公開だが、疑問噴出の事態を招き、問題の幕引きとはなりそうもない。

 報告書で目を引いたのは、渡辺夫妻の離婚のくだりだった。過去に離婚疑惑を報じられたことはあったが、当時、渡辺氏は「離婚はしておりません。夫婦ゲンカはしましたが、婚姻関係は継続中です」と声明を出していた。ところが、報告書によると2012年11月20日に夫婦ゲンカをし、12月5日に離婚届を提出。受理されたものの、翌13年1月に仲直りし、今は“事実婚状態”となっていると詳細に説明されていた。

 渡辺氏は離婚について吉田嘉明DHC会長に相談しており、仲直り後にこんな恥ずかしいメールを送っていた。

「大変お世話になりました。危機を乗り越え仲直りができました。60を過ぎて新婚気分を味わえるとは思いませんでした。会長のおかげです」

“新婚気分”が何を指すのか不明だが、ずいぶんと艶っぽい文面だ。だが、なぜこんな恥ずかしいメールが報告書に記載されたのか。実は新たな疑惑の種があったからだ。

 8億円は3億円と5億円に分けて吉田氏から送金されている。

 このうちの5億円を渡辺氏はまゆみ夫人の口座へ3回に分けて移していた。理由について、渡辺氏は手元にあると浪費しかねないから信頼できる同志である夫人に預けたと調査チームに話している。しかし、この資金移動の時期と離婚の時期がかぶっており「慰謝料じゃないのか」との疑惑が浮上。

 調査チームの座長を務めた三谷英弘衆院議員(37)は「最初にまゆみ夫人の口座へ入金された2億円は夫婦ゲンカ後とはいえ、離婚届を出す前のこと。次の1億円は確かに届け出後です。しかし、その次の2億円は翌年の5月ごろで、仲直りしている。普通の人なら大金が手に入ったら定期預金を組んだり、投資をしたりするでしょうが、まゆみ夫人は普通口座に入れたままでした。これらのことから離婚給付(慰謝料)ではなく預かったものと納得しています」と説明した。

 この説明の肝は、夫婦が仲直りしていること。これを強調するために恥メールの暴露となったわけだ。

 会見では多くの質問が飛んだが、さらに別の疑惑に集中した。借りた8億円のうち渡辺夫妻は約9000万円を使っていた。吉田氏への利払いをのぞけば、クレジットカードの決済代金に使われたという。「一体、何に使ったのかはっきりさせないのか」と追及がやまなかったのだ。

 外部から調査チームに参加した和田衛弁護士は「要請はしていたが、残念ながら明細書を入手できず、使途の解明には至らなかった。とはいえ調査報告を延ばすより、大きな資金の流れを解明できたということで報告になった」と説明。渡辺氏は夫婦とも「党勢拡大のための会合等で使用した」と話しているという。

 疑惑を晴らすために離婚やメールを明らかにしたのにもかかわらず、使途不明金の方に関心が集中。これなら恥メールは公開しなくてもよかったのではないか。

 みんなの党関係者は「まあ、かわいいじゃないですか」と胸中複雑だった。