1都3県限定では感染爆発止まらない 日本全土を危険にさらす緊急事態宣言

2021年01月08日 12時30分

菅首相

 首都圏の1都3県を対象とした緊急事態宣言が7日再発令され、8日から来月7日まで主に飲食店への営業時間の短縮と夜8時以降の外出自粛が要請された。東京の7日の新規感染者は、前日より800人以上増えて2447人と過去最多を大きく更新、国内の感染者数も同様に1000人以上増の7000人を超えた。遅きに失した感がある緊急事態宣言だが、内容にも“致命的な欠陥”があると専門家は指摘している。それは――。

 菅義偉首相は7日、緊急事態宣言の再発令について「大変な危機感を持っており、何としても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせるため、緊急事態宣言を決断した」と説明した。

 首都圏の1都3県では8日から2月7日まで飲食店の営業時間を午後8時までに短縮すること、同時刻以降の不要不急の外出の自粛などが呼び掛けられる。一方で緊急事態宣言の解除の目安として政府は「ステージ3」(現在はほぼステージ4レベル)「東京の新規感染者500人」としている。

 医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「2447人を500人まで押さえ込むには1か月では短すぎる。仮に抑え込んだとしても、また感染拡大して500人を超える時が来るのは間違いない。全国で7000人超の状況を踏まえ、緊急事態宣言の対象地域を他の都市部と周辺地域に拡大すべき」としている。

 7日の新規感染者数が607人と過去最多を更新した大阪府の吉村洋文知事は、兵庫県や京都府とともに緊急事態宣言の再発令を8日にも政府に要請する方針だが、政府側は「その状況にはない」と現時点では応じない構えだ。

 首都圏に限定し、飲食店に休業要請しないという、ロックダウン(都市封鎖)とは違う形で走りだした緊急事態宣言だが、その効果については疑問視せざるを得ないと古本氏は語る。

「宣言の対象を首都圏に限定し、人の行き来を止めているわけではないので感染拡大は続く。爆発しようとしている都市部とその周辺も対象にしないと、日本全体が感染爆発してしまう。感染症対策は本来、爆発する前に抑制し、その状態を維持せねばならないのに、政府の施策は第1波の時と同じ繰り返しで、撲滅するという意識ではなく、増えたのでとりあえず抑えるという姿勢。ビジョンがなく、視野が狭い」

 場当たり的な1都3県限定では、感染減少どころか、日本全土を危険にさらすというのだ。

 もはや感染者用のベッドは不足し、医療体制はほぼ崩壊しているといっても過言ではない。ただでさえ遅きに失した緊急事態宣言だが、これからできることはないのか。

「中国のように専門病院を早急につくるべきだという意見も出ていますが、今の日本では時間がかかり、人員の確保も困難。スピード感が必要であることを考えると、首都圏周辺の山梨や群馬などに重症者を搬送する関東広域搬送をすべきでしょう」(古本氏)

 昨年、死者13人が出たクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の対応でも横浜市近郊の病院では対応し切れずに各地の病院に搬送されたケースがあった。既に都内の医療機関は受け入れ体制が逼迫し、医療崩壊同然の状況。比較的まだ余裕がある地方に早い段階でシフトできる体制づくりが必要という。

 また、感染拡大を抑制し、ワクチン接種につなげなければならないが、そのワクチンをめぐっても不安が残ると古本氏はこう指摘する。

「2月末の接種開始も怪しいとみています。日本は国際的な医薬品獲得においては後進国で、欧米各国が国策として確保に動くのに対し、日本はずっと企業任せにしてきた。国際社会での信頼度は低く、そのしわ寄せが今出て、ワクチンを確保できないまま第3波を迎えてしまった。とはいえ、医療従事者や高齢者などへの早期接種は最優先で急ぐべきです」

 飲食業からは「いじめだ!」との悲鳴も上がっている2度目の緊急事態宣言。これで効果が出なければ、菅首相はどうするつもりなのか。

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