小保方氏の会見に「墓穴」と「同情」

2014年04月10日 20時00分

涙を浮かべる小保方氏

 テレビ各局が軒並み生中継するなど、新型万能細胞「STAP細胞」論文の主著者・小保方晴子氏(30)が大阪市内で9日に開いた記者会見は、全国注視の一大イベントと化した。所属する理化学研究所が同論文で小保方氏の不正があったと認定したことに対する、反撃の会見。STAP細胞存在の確信と研究への思いは涙も交えて十二分に示したが、詳細な実験データを掲げてのものではなく、墓穴を掘った印象も与えた。

 2時間半に及ぶ会見を弁護士の支えもあって乗り切った小保方氏だが、論文の信頼性を取り戻したとは言い難い内容だった。共同執筆者の若山照彦山梨大学教授は会見を受け「ミスを認めて謝罪していたので、この騒動も前進したと思う」と評価しつつも、論文取り下げの意思に「変更はない」と断言した。

 若山氏が論文撤回を決意する上で、小保方氏の博士論文と酷似した画像の取り違えがあったことが決定的となった。小保方氏は「取り違えに気付いた時点で、若山先生に連絡が行っていると思っていたので、訂正の書類にサインしてくれたと思った。若山先生が取り違えを知らなかったのを、若山先生の記者会見で知った」と話す。

 その行き違いが生じた後に、交渉を試みたというが…。

「1月以降、私のメールは完全にパンク。若山先生の電話もパンクして、著者間でのやり取りが全くできない状況だった。正確なお互いの状況や気持ちや研究状況が、通じ合えていなかった。若山先生には申し訳ない」

 この釈明には報道陣も、多くが頭に「?」を浮かべた。いくら連絡手段がパンクしていても、疑惑発覚から若山氏の撤回表明までの約1か月間にわたって、そんな状況が続くとは考えにくい。若山氏からSTAP細胞の作製依頼を受け、依頼とは違うマウスで作製した件についても「直接話していないので詳細はわからない」とした。

「STAP細胞はあります」と明言し、「200回以上、作製に成功している」とも明かした小保方氏。これにも、「信用できない」「説得力がない」といった専門家らの指摘がメディアで相次いだ。

 理研調査委員会に提出した実験ノートが「3年間で2冊」だったことにも「少なくとも4、5冊ぐらいはあると思う」と答えたが、会場からは失笑も漏れた。本人しか成功していないSTAP細胞作製には「レシピのようなものがある」と課題を挙げたが、ノートやレシピの公開には否定的な見解を示した。

 論文不正を認定した理研も冷ややかだ。「とにかく野依良治理事長は、激怒しています。8日にはスタッフたちに『会見なんか見なくていい』と言ってました。でも、スタッフたちはネット中継を見たんですが、『200回以上成功』のくだりではみな失笑していました。ノートについても、研究者なら1週間に1冊使い切りますから」(理研関係者)

 いわば墓穴を掘った感の強いロングラン会見。終盤になされた週刊誌などで報じられた、笹井芳樹氏(理研発生・再生科学総合研究センター副センター長)との「不適切な関係」についての質問には、小保方氏は「まずそのようなことはありませんし、そのような報道が出て本当に戸惑っております」と困惑した表情ながら、しっかり答えた。