コロナ地域別変異の脅威 専門家が予測する今後

2020年12月22日 11時30分

ジョンソン英首相(ロイター)

 英国の新型コロナウイルス「変異種」騒ぎで、欧州を中心に各国が対応に追われている。20日からロンドンなどを都市封鎖(ロックダウン)した背景として、ジョンソン英首相が挙げたのが変異種による感染の拡大。その感染力は従来型の1・7倍だといい、複数の国々でも存在が確認されている。日本では未確認だが、専門家は「人やモノを媒介に入ってくる」と予測する。果たしてワクチンはこの変異種に有効なのか?

 英政府によると、9月20日に南東部ケント郡で最初の例が報告された新型コロナウイルスの変異種の名称は「B・1・1・7」。

 ジョンソン首相は19日の会見で「まだ不正確な情報だが、変異種の感染力は古い種よりも最大で70%高い可能性がある」とした。つまり感染力は1・7倍だ。

 多数の国々が英国からの旅客機の乗り入れをストップしたが、すでに変異種はイタリアやオランダ、デンマークなどの欧州各国をはじめ、南アフリカ、オーストラリアでも確認されたという。

 医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「英国の環境に順応してきたウイルスが変異し、感染力を強め拡大している。ロックダウンや航空便を停止しても、変異種は強く生き残ろうとしますから、人や輸入品など様々なモノを媒介に入ってくるでしょう」とみる。

 現在、日本政府は原則として入国後2週間のホテル待機などの条件付きで、中長期滞在する外国人らの全世界からの入国を認めている。田村憲久厚生労働相は21日、「専門家と相談してどういう対応をするべきか早急に検討したい」とした。

 加藤勝信官房長官は同日、変異種について「国立感染症研究所によると、我が国では確認されていない」としたが、言葉通りなのか。

 先週の本紙で日本の新型コロナウイルスが変異している可能性を指摘した古本氏は「政府が確認するのは一番最後です。日本でも英国と同様、独自の環境に応じて変異していると私は仮定しています」と指摘する。

 しかも、今後ウイルスは気候や生活習慣に応じて、さらに細分化して変異していく可能性があるという。

「日本などアジアで変異種が見つかった場合はアジア型という大きなくくりではなく、東南アジアでも冬の湿度が高いタイと、乾燥する日本のウイルスは違う変異をするとみています。さらに冬の今、北海道と東京では生活スタイルも違う。北海道では室内、家庭内感染に強くなったり、東京では不特定多数の人々が集まる場所での感染力を強めたり、ウイルスは細分化して変異して生き残ろうとすると予測しています」(古本氏)

 英BBC放送によると、ロンドンでは11月に確認された感染者の4分の1が変異種で、12月にはその割合が3分の2まで拡大しているという。

 英国政府は「変異種の致死率が高いとか、重症化しやすいなどを示す証拠も、ワクチンが変異種に効果が低いという証拠も今のところはない」としている。

 しかし、古本氏は「古い種から作ったワクチンが変異種に効果があるのかは検証が必要。そもそも来年、日本に入ってくる米英製ワクチンが日本のウイルスにきちんと効くのかという問題があります。それで効かないとなれば、新たにその土地に応じたオリジナルのワクチンを作る必要も出てくる可能性もあるのです」と危惧している。

 日本医師会など医療9団体は21日、国内の感染拡大と医療体制の逼迫状況を受け「医療緊急事態宣言」を出し、政府に対し「勇気を持って早めの対策を」とも呼び掛けた。

 世界のワクチン接種開始でホッとしたのもつかの間“変異型ウイルスパニック”が世界に広がっている。

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