化粧品販売会社DHCの吉田嘉明会長(73)から計8億円を借り入れていたみんなの党の渡辺喜美代表(62)が7日、騒動の責任を取り、代表辞任を表明した。ただ、けじめをつけるどころか、まゆみ夫人を巡る新たな疑念を呼ぶ展開となり、妻の通帳を開示しなければならないという“夫・渡辺”にとっては新たなつらい局面に立たされそうだ。

 渡辺氏は、返済済みの2億5000万円に加え、5億5000万円をこの日、吉田会長に返して、8億円を完済したという。

「利息を含めて、ご返済させてもらった。政治資金規正法、公職選挙法に照らして、なんら問題ない。違法な点はないとはいえ、党内に動揺をきたし、代表を辞する決断をした」と代表辞任で、巨額借り入れ問題の幕引きを図った。

 一方で新たな事実が判明した。8億円は吉田会長から渡辺氏名義の口座に振り込まれていたが、5億円余りは、夫人名義の口座に移していたというのだ。

「私はお金があると使ってしまうので“保守的”な妻に管理させた」(渡辺氏)

 大金の使途に注目が集まっている中、渡辺氏によれば5億円はほぼ手つかずで、今回の返済の原資に充てたという。ただ、夫人名義の銀行通帳の開示については「結果がすべて。私の口座から移して、戻ってきている。それですべてが分かる」(渡辺氏)と断り、党独自調査の対象でもないという。

 元みんなの党関係者は「全く全容解明になっていない。選挙時に奥さんが肩入れした候補が優遇された不公平感が、結いの党との分裂にもつながった。奥さんの口座も調べ、カネの出入りをチェックしなければ、説明責任を果たしたとはいえない」と指摘する。

 また渡辺氏の主張はある意味、ウソではないとの指摘も出ている。

「使途が収支報告に記載されていない選挙資金なら完全にアウトですが、仮に夫人の遊興費であれば“個人的”で、法的な問題はなく、(国会の)政治倫理審査会に諮る話でもなくなってくる」(永田町関係者)

 もっとも公党の代表が、8億円もの大金を借り入れてしまった以上、今後も各方面からの追及は続き、夫人の通帳開示は避けられない局面となりそうだ。