NHKの籾井勝人会長(71)は関連会社での不祥事が相次いだことで、NHKと関連会社・団体の全役職員に対し、新たな不正に関する情報提供を呼びかけたが、局内からは懐疑的な声も出ている。


 3月に入ってから子会社2社で不祥事が発覚。NHK出版の編集長が架空業務の発注などで懲戒免職となり、NHKビジネスクリエイトの営業部長による不適切な経理処理も明らかになった。


 これを受けて再発防止策などを検討する調査委員会を設置したが、1日付でNHKの局内ポータルサイトに「調査委員会への情報提供のお願い」という、籾井会長名の文章を掲載した。不祥事の原因や発覚してない不祥事などの情報提供を呼びかけ、調査委員会の活動をより有効なものにさせようと自ら旗振り役を買って出たわけだ。


 ある局内関係者は「もともとリスクマネジメントやコンプライアンスについての組織は存在するからね。今回は会長のパフォーマンスでしょという人は多いですよ」と冷ややかな声もあるが、再発防止に取り組むという籾井会長の姿勢の表れであることは間違いない。


 ただ、局員を懐疑的にさせているのは局の現状だ。「籾井会長になってから、理事が一枚岩になっていないと言われているように、会長に擦り寄る人がいたり、距離を置こうとしている人がいたりする。そんな状態でいくら匿名とはいえ、会長じきじきに『情報提供を』といってくるのが逆に怖い。情報がどう使われるのかって考えるとちょっとね。その呼びかけが逆効果にならなければいいですけど」と別の局員はもらす。

 籾井会長のやる気が功を奏せばいいのだが。