居酒屋チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の元従業員森美菜さん(26=当時)が2008年に過労自殺し、両親が当時の親会社「ワタミ」の社長だった渡辺美樹参院議員(54)らに損害賠償を求めた第2回口頭弁論が27日、東京地裁で行われた。渡辺氏が法廷で謝罪した一方、傍聴席をワタミ関係者が占拠する騒動となった。

 計約1億5300万円の損害賠償が請求された同裁判で、第1回には姿を見せなかった渡辺氏が出廷。意見陳述で「自ら絶たれた命の道義的責任について重く受け止め、ワタミ株式会社とともに心より謝罪を申し上げます」と頭を下げた。さらに姿勢を改めた経緯に触れたうえで、「私が一生をかけて背負う十字架です」と反省を見せた。しかし、法的責任には見解の相違があるとして、「司法に委ねる」と争う構えを見せた。

 傍聴席では、すったもんだがあった。約40席に開廷前からワタミ社員とみられるスーツ姿の関係者が大挙、押しかけた。入り口がふさがれ、森さんの支援者らが入れないために怒号が飛び交い、裁判所側が席割りで仲裁する事態となった。

 渡辺氏はフェイスブック上でこう弁明した。

「被告(ワタミ)側が傍聴席を占拠したとの指摘がありますが、原告、被告双方の傍聴希望が多数あり、最終的には原告側2、被告側1という割合を受け入れ、原告側支援者が過半数の傍聴席で裁判が行われたのが事実です。被告とされると、とかくすべてを否定されてしまいます」

 ワタミ関係者が大挙動員されていた事実を認めつつも、結果的に占拠はなかったとした。

 昨年の参院選時、週刊誌の“襲撃”に警戒し、渡辺氏の身辺を過剰にガードするワタミ関係者の姿が見られた。初出廷でも不測の事態を恐れ、鉄壁シフトを敷こうとしたようだが、謝罪でイメージ回復を図るどころか“親衛隊”の出動で、裏目に出てしまったようだ。