〝MIRAI〟に夢広がる――。大阪市は10日、大阪地区トヨタ各社(13社)とエネルギー関連施策の推進にかかる連携協定を締結した。

 菅義偉首相(72)が所信表明演説で、2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする「脱炭素社会の実現」を打ち出し、同市でも推進に取り組む。その一環として、9日に燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」をフルモデルチェンジして発売した大阪トヨタ各社と協定を結んだ。

 締結式に各社代表として出席した大阪トヨタ自動車の小西俊一社長は「本当に光栄なこと。14年に発売した初代(MIRAI)は売り上げはもう一つだったが、燃料電池車を世に送り出すことに意味があった。2代目は本格的に水素社会実現に向けた起爆剤の使命を担っている。普及してこそ貢献できるので、我々の責任も重い。水素社会の実現、次世代自動車の普及に全力で取り組む」と決意表明。早速、「大阪市さま、財政的には大変厳しいと思いますが、ぜひ新型MIRAIを買っていただきたいと思いカタログを持ってきました」と公開〝トップセールス〟をやってのけ、笑いを誘った。

 大阪では、吉村洋文知事が「空飛ぶクルマ」実現に向けた「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」の設立を宣言。トヨタOBの福澤知浩氏が代表を務める「SKYDRIVE」社などが参画している。

 小西氏に空飛ぶクルマについて聞くと「今はドローンみたいな感じだけど、25年の万博の時には実用化してる可能性はある。水素もいろんなことが進んでるだろうし、空飛ぶタクシーとかが本当に出てきてもおかしくない。夢がある話だね」とにっこり。「トヨタに限らず、自動車・IT系企業も含めて、モビリティーに革命を起こしている。10年もしたら、ものすごい変わってるかもしれないよ」と話した。

 富士山の裾野にさまざまな最新技術を実証する都市「ウーブン・シティ」を計画し、来年にも着工予定のトヨタ。空飛ぶMIRAIをお目にかかれる日もそう遠くないのかもしれない。