奈良や川崎で郵便受けや新聞受けに現金や商品券の投函が相次いだ。それぞれ計50万円を超える額で、差出人は不明だ。“ねずみ小僧か”と喜ばれるはずもなく、投函された住民はみな、気味悪がっている。

 奈良・生駒市のマンションで20日、全53戸中29戸のポストや新聞受けから現金1000~13万7000円、計約75万円が見つかった。お札は“裸”のままで小銭はチラシにくるまれるなどしていた。神奈川・川崎市では、今月10~11日にかけ、29以上のポストや新聞受けで商品券5000~2万円、計60万円以上が見つかった。セブン&アイ・ホールディングスの共通商品券で、封筒に入れられていた。

 福祉施設や学校に現金や商品券が届けられるタイガーマスク“伊達直人現象”と重なってみえるが、この2か所で起きた件が厄介なのは、差出人や目的が不明な点だ。奈良はマンション、川崎は大型戸建ても立ち並ぶ住宅街で、一般住民が対象だからだ。

 目的が分からないだけに、お金の出どころも怪しくなってしまう。確定申告の時期で脱税逃れやマネーロンダリングで処理に困った金が使われた可能性も否めない。投函されたのを黙っていた場合や使ってしまった場合もあらぬ嫌疑をかけられる恐れがある。

「自宅のポストに入っていたからといって、その家の人の所有物にはならない。『自由に使ってください』の一文でも添えてあれば寄付になるが、何もなければ所有者不明の拾得物。厳密に言えば投函された側も、拾得物として届けないといけない」(法曹関係者)

 警察では、防犯カメラ映像の解析や商品券の販売場所などから投函者の特定を急いでいる。