“リケジョの星”に母校から猛批判!! 疑惑が噴出している新たな万能細胞「STAP細胞」の論文で、主筆者である理化学研究所発生・再生総合研究センターの小保方晴子研究ユニットリーダー(30)に新たな疑惑が持ち上がった。博士号を得るために出身校の早稲田大に2011年に提出した英語の博士論文の冒頭部分が、米国立衛生研究所(NIH)のサイトの文章とほぼ同じだったことが11日に発覚。早大教授から「ずさん」との声も上がった。

 STAP細胞論文をめぐる騒動は11日、さらに広がった。理研の加賀屋悟広報室長は文部科学省で記者会見し「研究倫理の観点から論文2本の取り下げを視野に検討している」と正式に発表した。STAP細胞論文で、小保方氏が過去に早大に提出した博士論文で使った図を流用しているとの指摘や、共著者の若山照彦・山梨大教授が「いったん撤回すべきだ」と提案したことを重く受け止めた。取り下げには原則として14人の著者全員の合意が必要で、結論が出なければ、理研による調査の内容次第で、撤回の勧告も検討するという。調査状況は14日に公表する予定。加賀屋室長は「世間をお騒がせし、誠に申し訳ない」と謝罪した。また、若山教授によると、小保方氏から「騒がせてすみません」とのメールが届いたが、撤回には触れていなかったという。

 疑惑は、使われた画像がSTAP細胞論文にあるものと似ているとされる小保方氏の博士論文そのものにも及んだ。

 博士論文は、骨髄から採取した細胞が様々な細胞に変化できることなどを示したもので、11年2月に発行された。約100ページの論文のうち、冒頭の26ページを割いて幹細胞研究の意義や背景を説明しているが、うち20ページはNIHの「幹細胞の基礎」というサイトとほぼ同じ記述だった。これに対し早大の岩崎秀雄教授(実験生物学=42)は「言語道断」と厳しく批判する。

「今回のものはあまりにも大規模で、後から見たら、あまりにもずさん。『気付けよ』とは思うが、博士論文がコピーだとは思わないし、そうそうググったり(ネット検索したり)しないので見過ごすこともあるのかもしれない」

 大学生のリポートなどと違い、博士論文は性善説で見ており、パクリが行われるなどと思わないのが一般的で「(丸写し論文の提出は)大学の時でも単位の抹消があるのに、博士の時までやってしまうのは正常ではない」という。

 それこそ、毎日のように世界で多くの論文が提出されており、ピンポイントで同じ文献を見る可能性は高くない。小保方氏のコピペ(コピー&ペーストの略。丸写しのこと)論文はそのスキを突いたようだ。それでも、「バックグラウンドに引用文献が全くない。それはありえない。引用文献に関しては指摘をして書き直させる。重要なことですから」と論文を評価した主査、副査も気付くタイミングは十分にあったという。

 だが、最大の責任は論文の20ページにわたって丸々コピーしたかのような記述をした小保方氏にあるだろう。岩崎教授は「(小保方氏が)やったことは完全にクロ。非常に厳しく対処すべきだと思う」と指摘した。

 論文の盗用には早大でも厳しい規定があり、小保方氏の件も盗用となれば博士号の取り消しも取り沙汰される問題になりかねない。

 また、STAP細胞に関しては小保方氏の証言が重要になる。同細胞の作製で問題視される再現性については、過去にも再現性が低い論文はあった。

「再現性があるかどうかよりも本人の自供。100%捏造であるかどうかは、本人の証言がないと。全てのデータがクロなのかは分からない。信頼性をなくすようなものは多いが…」(岩崎教授)

 世界を驚がくさせた歴史的研究者から、捏造を追及される立場になった小保方氏に岩崎教授は厳しい言葉をかけた。

「国内有数のラボのリーダーだが(小保方氏は)現在いる場所にいるべき人材じゃない。研究倫理がない。(STAP細胞が)仮に再現され、再提出されても、よくない見本として残ってしまう」

 さらに論文を認めてしまった早稲田大学に対しても、「どういうプロセスで論文が認められたのかなど根本から見直さないといけない」とした。臨床応用への期待が大きいSTAP細胞。難病患者らのためにも、小保方氏は堂々と釈明する必要があるだろう。