11日、生命科学などの分野で功績のあった研究者に贈られる上原賞の授賞式が都内で行われ、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が出席した。笹井氏は「STAP細胞」の論文の共著者の1人で、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の上司。すべてを知る人物といわれているのだが…。

 授賞式では笹井氏の受賞講演もあったが、STAP細胞には触れなかったようだ。副賞は2000万円だという。

 午後7時前、授賞式会場から笹井氏が乗ったとみられる黒い車が猛スピードで飛び出し、信号待ちを回避し裏道に進入。計算された逃亡劇だった。

 STAP細胞が世界を驚かせていたころは、笹井氏も冗舌だった。小保方氏を「実験好きで、データを何よりも信じて辛抱強く研究する人だ」とホメた。

 だが、論文への疑惑は数多い。上司として見抜けなかった笹井氏の責任は重いが、責任を認めれば、笹井氏の理研内での立場は危うくなろう。論文撤回がすんなり決まらない背景には、政治的な事情もあるという。

 永田町関係者は「12日に開催される総合科学技術会議で『特定国立研究開発法人』の指定について、議論されるといいます。理研も指定の候補に挙がっています。理研にとって指定は大きなメリットになります」。同法人に指定されると、研究者への高額報酬が可能になり、優れた研究者を確保することにつながる。内閣府の科学技術政策・イノベーション担当は「総合科学技術会議が開かれたとしても、いきなり正式な法人指定までいくことはないかと思われます。ただ、理研が候補として挙がったのは確かです」とすっきりしない。STAP論文の行方次第では指定も危うい。

 理研は14日に会見を行うというが、なんとか無事に12日を“通過したい”ということか。