フィギュアスケート男子の羽生結弦(19=ANA)のソチ五輪金メダルに、地元宮城県だけではなく、埼玉県北部の町も沸いている。名称の読みが同じ羽生市だ。

 25日の帰国会見で「早く練習して、世界選手権に向けて一生懸命やりたい」と3月26日開幕の世界フィギュア(さいたまスーパーアリーナ)初制覇への思いを強調した羽生。この大会は埼玉県も特別共催しており、羽生市にとっては同県内の大会となる。市の広報担当者は「チケットが手に入らないようです」ともどかしそうに語った。

「羽生」姓では数々のタイトルに輝いた将棋の羽生善治三冠(43)が有名だが、こちらは「はぶ」と読む。その影響か、知らない人には「はぶ市」と言われることもあった。だが、羽生結弦の金メダルで「『はにゅう』という読み方が全国的に知られたので、読み間違える人も減るのでは」(同)との期待も高まる。

 河田晃明市長(63)は五輪男子のフリー演技を前に「市と同名の選手を応援しないわけにはまいりません」とブログで宣言。市のホームページには「祝!金メダル 羽生市も応援しています」のメッセージも。羽生は12年の世界選手権で銅メダルを獲得し、昨年3月の市議会では「名誉市民を授与できるか」「後援会も考えられる」などと議論が繰り広げられた。

 群馬県に接する人口5万6000人の小都市に羽生姓は少ないというが、市民の間では勝手連的な応援団も生まれ、五輪金メダルを機に、市でも「何かしら(快挙をたたえることが)できないかと考えている」(同)。

 昨秋は「ゆるキャラさみっと」が市内で開かれ、マスコット452体の世界最多集合記録を達成し、2日間で約45万人を動員。市にも「ムジナもん」というキャラクターがいる。「滑り終わったリンクにムジナもんを投げて、羽生選手が拾ってくれたら」とツーショットの夢がかなう日を心待ちにしている。