結婚式を控えていたのに、パーマの失敗で髪がチリチリになった女性が美容室経営者に約490万円の損害賠償を求めて訴えて話題になったが、同業界には信じられない女性クレーマーも存在するという。

「今回訴えられた件に関しては店側が悪い。パーマがかからない髪質の人もいる。できないことを『できない』と言うのも店の仕事」と話す東京・表参道の人気美容師Aさんが、クレーマーの驚くべき実態を明かした。

「この業界には、初めて訪れた美容室でいちゃもんをつける『ブラック客』がいる。一見の女性客には注意している」

 ブラック客は、なんとか金を払わないで済ませようとする。カットモデルになる方法もあるが、「正直、そこまでしてもらえるほどかわいくない女性がクレーマーには多い」ため、該当者には自然と“不美人”が多い。おまけにミーハーだ。

「ファッション誌でヘアメークをしている美容師の店や、ドラマの撮影に使われる有名店を調べて来る」

 人気店ゆえに値段は割高となる。そこで考えたのがいちゃもんだ。

「髪を切ってるとき、アシスタントの子が近くで何か話すと『なに?』と言って急に振り向く。そうするとハサミが頭や顔に当たってケガをしそうになる。『痛い! あんたが私のことを呼ぶから振り向いたらケガしたじゃない! どうしてくれるの』とわめきちらす」

 他の客の手前、騒ぎになるのは好ましくない。「本当は名前など呼んでないのに、穏便に済ませるため『今回は御代は結構です』と言わざるをえない」

 オシャレなエリアで店を出す以上、店はイメージを重要視する。

「訴えられても払うのは数十万円。それより『訴えられた店』というレッテルを貼られて顧客離れを起こすことが怖い」

 故に店は、言い分をのんで結果的にクレーマーを増長させてしまう。彼女らはホストクラブ通いのように、新規客として次々と店を荒らしていく。

「ブラックリストを店同士で共有して、来店したときに細心の注意を払うことが今の自衛策」。美容師は弱い存在なのだ。