関東甲信地方を襲った大雪の被害が、いまだに深刻だ。東京・多摩地域では18日になってもJR青梅線(青梅―奥多摩間)や国道の交通は絶たれ、孤立状態を強いられている。舛添要一都知事(65)は万全の手を打ったと胸を張ったが、地元住民からは「公約違反」との声が漏れ出した。

 東京西部に位置する青梅市や奥多摩町、檜原村は1メートルを超える積雪に見舞われ、国道411号線のトンネルは塞がれ、各所で雪崩が発生した。奥多摩町や檜原村では200世帯約360人が孤立し、舛添氏は16日昼に自衛隊に災害派遣を要請した。18日に会見した舛添氏は「(16日は)休日でしたが、すぐにホットラインを通じて、自衛隊に出動要請した。知事就任してすぐに危機管理体制を発動できるとは思わなかった」と胸を張ってみせた。ただ、自衛隊は派遣されたものの人数が50人弱と少なく、除雪作業は進んでいない。そもそも青梅市中心部でも、まだ多くの雪が残り、日常生活に支障をきたしている。

 青梅市の30代会社員は「市内の体育館やバス停、駐車場の屋根は雪の重みで潰れ、奥多摩周辺は大震災の被災地のような状況です。舛添氏は8日の大雪時にも『大したことはない。1日で終わる』と話していたが、都心と三多摩地区は全く環境が異なる。現場を見てほしい」と怒りの声をあげる。

 三多摩地区とは、東京の23区と小笠原諸島などの島しょ部を除いたエリアの総称で、選挙中の舛添氏は「これまでの都知事は、三多摩地区を軽視してきた。東京23区だけが東京じゃない」と訴え、票を集めた。知事就任時も現場主義を掲げ、都庁のイスに座っていることは少ないとも話していたが、今回は被災写真をチェックしただけで現場へ足は運んでいない。

「やはり東京は23区だけじゃないか。結局、選挙のパフォーマンスか」と三多摩地区の住民が裏切られた思いにかられるのは無理もない。