急速に発達する低気圧の影響で、西から東日本の太平洋側は14日から15日未明にかけ、各地で大雪となった。東京都心(大手町)でも27センチの積雪。この雪がもし、富士山噴火の際に首都圏で降り積もる火山灰だったら…。

 富士山は宝永噴火から300年沈黙しており、専門家の間では「いつ再び噴火が起きてもおかしくない」と言われている。噴火となった際、富士山近隣では溶岩流や火砕流の被害が発生。火山灰は偏西風に乗り、首都圏に降り注ぐ。富士山火山防災対策協議会の試算では、宝永噴火と同規模となった場合、神奈川県西部で30センチ以上、首都圏では2センチ以上30センチ未満の降灰を予想している。

 元東京消防庁消防官の災害対策アドバイザー・金子富夫氏は「火山灰は目が細かいガラス質のチリで、水と合わさるとドロドロになり排水溝が詰まってしまう。雪と違い溶けてなくなることはないから、土のう袋などに入れるしかない。雨が降れば、スコップが入らないほどに固まってしまう」と指摘する。

 人体へも深刻な被害をもたらす。灰で目の角膜や気管支、肺を傷つけ、風邪用のマスクは役に立たない。1250万人に健康異常を及ぼす試算だ。ライフラインも電子機器がショートし、停電や断水が発生。成田や羽田空港は閉鎖され、日本の大動脈である東海道新幹線や東名、新東名高速道路も遮断され、首都圏は陸の孤島となってしまうのだ。2兆5000億円の被害想定も甘過ぎとの声がもっぱら。

「噴火による降灰被害は、3・11の放射能被害とは比べものにならない甚大な被害が首都圏に直接に及ぶ。それも噴火は1日だけではなく、数週間から数年に及ぶ可能性もある。政府は今回の降雪を降灰に見立て、警鐘を鳴らしてもいい」(金子氏)

 内閣府作成の富士山噴火ハザードマップも一般的に知られてない。Xデーをシミュレーションして無意味じゃないはずだ。