韓国で、大手クレジットカード3社(KB国民カード、ロッテカード、NH農協カード)から、人口の約2倍に当たる約1億500万人分の顧客の個人情報が流出し、NH農協カードのトップが辞意を表明するなど騒ぎになっている。朴槿恵大統領(61)、潘基文国連事務総長(69)も被害に遭ったというから深刻だ。

 情報セキュリティー会社「コリア・クレジット・ビューロー」の社員が1年半にわたり、情報を盗み出し、売りさばいていたとしてすでに逮捕・起訴されている。

 韓国事情通は「韓国人は1人当たり5枚ほどのクレジットカードを所有し、全体で3億枚が出回っているとされる。1997年のアジア通貨危機で経済破綻した韓国では、当時の経済の20%近くに相当する脱税マネーをきっちり徴収するため、全国民の金の流れをつかもうと、2000年にクレジットカード利用促進政策を実施したんです」と説明する。

 日本とは違い、韓国では屋台のような小さな飲食店でもカードが利用できる。

「年商約200万円以上の店はカード取り扱いが義務付けられ、利用者側も年間利用額の20%が所得控除となった。カードの利用明細があれば、年末調整でも上限30万円が返ってくる。カード使用で毎月行われる宝くじの権利も獲得できる。それで国民はみんな持てるだけカードを持つようになったが、韓国人の買い物の3分の2がカードでの支払いになり、ローン利用は増え、カード所有者の約10%がブラックリスト入りしてます」(同)

 流出したのは利用者名や住所、電話番号、カード番号、銀行口座、パスワードなどで、騒ぎは今後拡大しそうだ。

「該当カード会社のカード決済の一時停止が起きるでしょう。サイバー犯罪者の手に情報が渡れば、金を不正に盗まれることもあり得るので、カード所有者が一斉に銀行口座から現金を引き出そうと、銀行では取りつけ騒ぎになるでしょう」と前出事情通はみている。