細川護熙元首相(76)は東京都知事選(2月9日投開票)の告示前日(22日)に出馬記者会見を開き“後出しジャンケン”となった。脱原発以外の政策に注目が集まったが、細川氏の口からは具体的な個別政策はほとんど出ずじまい。石原―猪瀬都政を継承する“居抜き政策”だった。

 ようやく会見の席に立った細川氏は「原発依存型の社会を180度方向転換させないとダメ。原発再稼働にストップをかけ、自然エネルギー大国日本を世界に発信していきたい」と脱原発を高らかに表明。昨年末に出版された池上彰氏(63)の著書でのインタビューで「五輪返上」に触れ、石原慎太郎元知事(81)らから批判を浴びていたが、この日は「開催が決まった以上は歓迎し、新しい日本をつくるチャンス」と心変わりを示した。

 脱原発以外では「岩盤規制といわれる各種の医療、介護、教育などの規制改革を推し進めたい」とし、報道陣からは具体的な内容を問われたものの「石原さんだろうと猪瀬さんだろうと、いい政策だと思っている。発展的に取り入れたい」「都の職員の方々が練り上げてつくられたものを発展的に、さらにメリハリをつけたい」と語るのみ。政策集には細かく掲げたが、細川氏の口から出たのは「石原―猪瀬都政丸のみ」という概略にとどまった。

 細川氏の選挙ポスターも顔写真と名前だけで、“脱原発”の文字すらない。陣営関係者は「政策は広く都民の方々の意見を吸い上げて、一緒に考えていくという意味で、あえて文字を入れていない」と解説したが、これでは“脱原発”すら伝わらない恐れもある。

 また、各種討論会への出席を拒否していたが、今後も拒否を継続するとも。「討論会はワイドショーみたいでメチャクチャになる。きちんと時間を頂ければ申し上げるが、蜂の巣をつついたような議論はやりたくない」。論議から逃げたと捉えられても仕方のない姿勢だ。