ボンボン&スケベ社長のせいで100年の歴史に幕――。鹿児島・指宿の老舗ホテル「指宿コーラルビーチホテル」が24日、前社長の相次ぐわいせつ事件を受け営業を停止した。街のイメージダウンも懸念されている。

 発端は今月3日、前社長の田原迫(たはらさこ)玄容疑者(44)が、強制わいせつ容疑で逮捕されたこと。昨年12月、深夜に県内の路地で、面識のない10代女性の体を触るなどしたという。同容疑者のスマホからは盗撮画像が複数見つかり、その写真が昨年8月、自らのホテルの飲食会場で女性客の浴衣の中を盗撮したものだったことが判明。23日には県不安防止条例(ひわいな行為)違反容疑でも逮捕された。

 ホテル側は18日、玄容疑者を懲戒解雇とし、父・要会長が社長に復帰。24日からの営業停止を決めた。ホテル側は「ホテル業を営む者としてあってはならないこと。一族で経営を続けていくことは難しいと判断した。約50人の従業員の雇用は確保しつつ、経営権は譲渡をしたい」と発表した。

 指宿は戦後の新婚旅行ブームで人気となり、南国リゾート気分を味わえることから「東洋のハワイ」と呼ばれた。中でも同ホテルは、老舗の割には1泊2食付き1万3000~1万4000円ほどの価格設定で、観光客に人気だったという。

 地元観光業界関係者は「社長に復帰した要さんは2010年まで指宿市長を務めた。大正時代に創業した前身の『御旅館・田原迫』から100年以上続く老舗ホテルを経営していた一族で、地元では『市長のホテル』として知られていた。その息子の新社長がお客さんを盗撮というのですから、とんでもないこと。指宿のイメージ的にも良くない」と話す。

 玄容疑者を知る関係者は「社長になる前は時計などのデザイナーや大学講師だったみたい。丸メガネに口の周りにヒゲを生やして遊び人風だった」と明かす。100年の歴史を途絶えさせた責任はあまりにも重い。