少女が身を寄せた先でいったい何が…。

 福井市黒丸城町の2階建て住宅の室内で10日未明、高校2年の冨沢友美さん(16)が死亡しているのが見つかり、福井南署は同日深夜、殺人の疑いで、この家で同居している祖父の無職進容疑者(86)を逮捕した。

 福井県警によると、進容疑者は9日夜に鋭利な刃物で友美さんを殺害したとみられる。上半身には複数の刺し傷があり、致命傷となったことも判明。進容疑者は友美さんと2人で暮らしており、凶器の特定や動機の解明を進める。県警は認否を明らかにしていない。

 県警によると、進容疑者は事件後、友美さんの父親に電話で連絡。駆けつけた父親が「娘が倒れていて動かない」と110番した。福井南署員が到着した際、進容疑者は現場にいた。室内に外部から侵入したり荒らされたりした形跡はなかった。友美さんは搬送先の病院で死亡が確認された。

 近隣住民や捜査関係者によると、2人が同居を始めたのは2か月ほど前からで、両親やきょうだいは福井市内で別に暮らしているという。知人によると、友美さんは周囲に「両親がけんかばかりするから(祖父の家に)来た」と話していたという。県警は家庭の事情も調べている。

 友美さんの父親は11日、県警を通して「大切な娘を突然失い、死を現実のものとして受け入れられない。今は娘との最後の時間を家族で静かに過ごしたい」とのコメントを出した。

 現場は、福井市郊外の田畑が広がる地域。10日午後、約20人の捜査員がシートで一部が覆われた住宅の中や周辺を調べていた。