医療従事者を襲う新型コロナウイルスの感染に看護師が悲鳴を上げている。

 沖縄県は5日、新型コロナウイルスによる支援要請を受けて派遣されていた大分県の女性看護師が、大分に帰った後のPCR検査で陽性が判明したと発表した。

 女性は8月20日~9月2日、クラスター(感染者集団)が発生した沖縄県内の医療機関で治療に当たった。

 2日の抗原検査では陰性だったが、3日に大分に戻り、4日にPCR検査で陽性が分かった。沖縄県内で感染した可能性があるとみている。

 沖縄県の玉城デニー知事は先月16日、新型コロナの感染者の治療に当たる医療従事者が不足しているとして全国知事会へ県外から看護師の派遣を要請。感染した女性は九州第1陣として大分県から派遣されていた。

 沖縄県は7月22日に始まった「Go To トラベル」の影響もあり、8月9日に確認された新型コロナの感染者は159人と過去最高を更新。感染の拡大を受け独自の緊急事態宣言も発出した。県外からの看護師の派遣要請はこうした第2波に備えたものだった。

 5日の新規感染者数は20人と現在は減少傾向にあり、6日には緊急事態宣言も解除されたが、窮地に募集した医療従事者から感染者が出たことで医療業界からは懸念の声が上がっている。

 ある看護師は「新型コロナ患者の対応で自分も感染すれば地元に帰れなくなる可能性もある。規模が小さな病院では人手が足りても資材が不足することもあるのではないか」と話す。

 また、沖縄県のホームページでは医療従事者の募集も行われているが、前出の看護師は「今回のような応援で行った看護師が感染したというニュースが出ると、募集に応募しようという人も減るのではないか。現場で働く看護師のケアも大切」と指摘した。