人気AV女優でストリッパーの川上奈々美(27)が豪雨被害の熊本支援のため、マスク1万枚を寄付する。映画や音楽などにも活動の幅を広げている川上だが、新型コロナウイルス禍で仕事が制限されている。それでも「社会や業界のために何ができるか?」と自問自答し「浅草ロック座」とともに動きだした。川上が本紙にその決意を明かした。

 コロナ禍では、AV業界からストリップ、一般映画や音楽、舞台などに進出してきた川上の仕事にも大きな影響が出た。

「劇場やライブハウスに人を呼ぶこともできないし、密になるので狭いスタジオで撮影することもできない。そんな状況で一人家に閉じこもって、自分と向き合ってみて、何がしたいのか、どれが本音なのか、考えました。そんな時、熊本の豪雨被害のニュースを見て“何かしなければ”と思ったのがきっかけです」

 川上が国内業者から購入した1万枚のマスクは、浅草ロック座の全面支援を受け、支援物資の集積所の熊本県人吉市の「青井阿蘇神社」に送られることになった。

 この強い思いの背景には、長引くコロナ禍でも「なんとか業界を盛り上げたい」という川上の使命感がある。

「以前の私は、周囲の人に『私が与えた分だけ返してよ』と思ってしまう依存体質でした。それが昨年からお仕事の幅が広がって、評価もいただけるようになり、自分が評価されれば、業界全体の底上げになるんだと考えるようになりました」

 2012年のAVデビュー以来、ストリッパーのほか、テレビでは「恵比寿★マスカッツ」、一般映画への出演や、歌手、演劇など多彩な仕事をこなしている。

「今では、私を見て好きになってくれて、自分でもやってみたいと業界に飛び込んできてくれる子が現れだしたんです。ロック座を代表する踊り子に成長した南まゆちゃん、先日デビューした琴井しほりちゃんも。私が出たことで後輩のAVの子が一般映画に出演するチャンスをもらいました。そんな後輩たちの姿を見て、自分が結果を出せば、人の人生にも影響を与えられるし、業界全体の見られ方も変わったり、立場や扱いが良くなったりするんだと分かったんです」

 さまざまなジャンルに進出したことで、社会貢献活動をするタレントや企業などと出会い、川上自身も支援活動に動きだす決意を固めたという。

 新型コロナ対策を徹底し、上演しているストリップ業界も、とりまく環境は厳しい。それをなんとかしたい思いもある。

「国の10万円支給、100万円の持続化給付金は当初『ストリッパーは対象外』でしたが、その後、批判の声が高まって、ストリッパーも対象となりました。でも実はストリップ劇場の従業員はいまだに対象外のまま。そんな状況だって、私が頑張って結果を出せば、少しは良くなるかもしれない。私自身がその思いを信じようと思うんです」

 全国的にみても、コロナ禍でなければ、この夏休みには被災地へ出向き、ボランティアなど、直接の支援ができただろうが、今年はお盆の帰省もままならない状況だった。

 川上は苦しむ人々へ向けても「今は天災やコロナなどで多くの方の心が傷ついていると思う。みんながつらい時期だからこそ、自分を許して、救ってあげるしかない。私も精神的につらい時期がありましたが、映画をたくさん見て心を癒やしてました。だから私のAVやストリップ、映画などでの姿が、誰かを癒やしてあげられていたらいいなと願ってます」とエールを送っている。

 業界を背負う覚悟で社会貢献活動に進出した川上は、9月1日から20日まで、浅草ロック座の舞台に立つ。