相次ぐ食材偽装表示の問題点は「国産信仰」

2013年11月16日 11時00分

 阪急阪神ホテルズに端を発した食材の偽装表示問題は、日本全国に広がってとどまるところを知らない。有名ホテルだけではなく、大手百貨店からスーパー、外食産業まで出るわ、出るわ…。問題が明らかになった企業は次々に謝罪はするものの、消費者は戸惑うばかりだ。そもそも表示内容のガイドラインが明確でなかったことが背景にあるが、それだけではない。経済評論家の平野和之氏(37)は、日本人の“国産信仰”も問題だと指摘した。

 消費者庁は11日、景品表示法違反(優良誤認)の疑いで、阪急阪神ホテルズの大阪新阪急ホテル(大阪市)と、ザ・リッツ・カールトン大阪(同)への立ち入り検査を実施した。

 阪急阪神ホテルズに始まり、ザ・リッツ・カールトン大阪、帝国ホテル、高島屋、ミシュラン常連店…偽装の連鎖は、まだまだ広がっている。

 東急ホテルズグループの徳島東急インがメニューと異なる食材を使用していた問題で、東急ホテルズは11日、徳島東急インの調理責任者が仕入れの段階で「阿波牛」と伝票に記載して注文しながら、業者に別の国産牛を納入させていたと発表し、食材偽装を認めた。だが、飲食店の表示内容が正確でないことを追及しても、根本的な問題の解決にはならないだろう。というのも、産地、製法など基準があいまいな部分がほとんどだからだ。

「例えば、ブラックタイガーを車エビとして提供していたことが問題になっていますが、私の認識ではブラックタイガーは、ASEAN(東南アジア諸国連合)産車エビ(正確には車エビ科)です。フレッシュジュースもそう。だいたい、しぼりたてフレッシュとは何なのか。しぼりたてを現代の最先端の(技術で)冷凍したものは、味は変わらない。企業側の誇大表示は問題ですが、おいしいことに変わりはないと思います」(平野氏)

 商品やサービスの品質、内容の表示を規制する景品表示法は厳しくなってきているとはいえ、いまだ“ザル法”。水産物の産地は漁をした海域でなく、水揚げ地での表示となる。だとすれば、いくらホテル側が対策を練っても生産者、仲介業者によってごまかされ、チェックが行き届かない。

「国や業界全体がガイドライン改正や、罰則強化などをするべきでしょう。『天然』とは何か。『鮮魚』とは何か。まずはそこからやらないと意味がない。作りたての『たい焼き』を『鮮魚』と売っていた笑い話もあるぐらいですからね」と平野氏。

 ただ、それと同時に日本人の“国産信仰”も、冷静になって考え直すべきと同氏は強調する。

「輸入食材でも、国産より安くておいしいものもたくさんある。料理人は、その国産信仰で誤認させるのでなく、自分の腕によって、料理法によって付加価値をつけるべきだと思います」

 日本人は極端なブランド信仰を持っている。青森・大間産本マグロばかりが珍重されているが、脂が乗った旬は真冬の2か月ほど。それ以外の時期なら、春はキハダマグロ、夏はミナミマグロ、秋はメバチマグロの方が美味だという。もちろん偽装した側が一番悪い。しかし、いま問われているのは、日本人の意識なのかもしれない。