全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者がいなかった岩手県でとうとう29日に2人の感染者が明らかになった。これで47都道府県すべてで感染者が出たことになったが、コロナは都市部を中心に再び猛威を振るっている。同日、東京都で250人、大阪府で221人、愛知県で167人の陽性が確認され、全国で初めて1日1000人を超えた。もうすぐお盆休みだが、実家に帰るのは難しそう。そこで有効なのが、オンライン帰省だ!!

 岩手県などによると、感染が分かったのは盛岡市の40代男性と宮古市の30代男性の2人。40代男性は22日に車で関東のキャンプ場へ行き、友人3人と26日まで車中泊とテント泊をしていた。28日、友人の1人に感染が分かり、男性は濃厚接触者として29日にPCR検査を受けたところ、陽性と判定された。30代男性については詳細がまだ分かっていない。

 達増拓也県知事は「誰でも感染する可能性がある。県民も改めてその思いで感染した人に共感を持ってほしい」と、感染者を責めることがないよう訴えた。ネットでは「岩手はよく頑張った」などと称賛のコメントがあふれている。

 とはいえ、これでおしまいではない。東京などの都市部では、春以上にコロナリスクが拡大している。これからお盆を含め夏休みシーズンになるが、都市部から地方へのコロナ拡散が懸念される。それゆえ「帰省できない!」と嘆く人は多いだろう。

 福岡の実家への帰省を考えている都内在住の会社員男性は「すでに飛行機のチケットは取ってしまいました。だから帰ろうとは思っています。でも、両親は高齢ですから家には泊まらず、ホテルで過ごすつもりです。友人からはLINEで『来んなコロナ』と嫌がられています」と明かした。

 関東圏に実家がある女性は、都内から近いとはいえ帰省しないつもりだという。

「こんな時期だから普段から外出は必要最小限にしています。だから実家にも帰らない。だけど両親が『帰ってこい』と言うんです。コロナに感染したら危ない年代なのに危機感が薄いのが心配です」と嘆いた。

 こうした状況で、注目されているのが「オンライン帰省」だ。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「オンライン会議やオンライン飲み会に慣れた人たちは『これでいいんじゃないの』という気持ちになっています。帰省もオンラインで済まそうという人は多いですよ」と指摘した。

 井上氏の知人は、先の4連休中にオンライン帰省を体験したという。

「知人は子供が生まれたばかりで、両親から『孫に会いたい』と言われていたのです。しかし、実家は岩手。町内の人は自分が東京在住と知っている。帰りづらいということで、パソコンを使って孫の顔見せをしたそうです」

 お互いに酒を飲みながらパソコンを介して滞りなく会話ができ、普段会わない親戚も集まってきて、満足感があったそうで、まったく問題なかったという。

 そんなオンライン帰省について、井上氏はより楽しむ方法を伝授した。

「事前に故郷の名物を送ってもらい、自分からも酒のアテになるようなものを送っておく。それをツマみながらオンラインで会話しながら楽しむ。懐かしい景色をオンラインで見せてもらうというのもいいでしょう。ただ、事前に電波が届くところなのか確認しておかないとうまくいきません」

 帰省は旅行以上に、高齢の両親や祖父母との“濃厚接触”が避けられない。正月休みには顔を合わせられるように、お盆はオンライン帰省を活用するのも選択肢の一つとなりそうだ。