東京では、16日の新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多の286人と判明した。赤羽一嘉国土交通相は同日、観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンの割引対象から、東京都発着の旅行を除外すると表明した。

 同事業は全国一斉に開始予定だったが、東京都は感染が再拡大しており、政府は同日の新型コロナ対策分科会で見直し案を説明、了承され、運用が見直された。残る46道府県は感染対策を徹底して予定通り22日から始めるというが、早くも“東京外し”の効果には疑問の声が上がっている。

「東京以外の首都圏各県に旅行に行って、東京に立ち寄る人は当然出てくる。それで感染し、地元にコロナを持ち帰って感染を拡大することにならないか」(行政関係者)

 さらに、神奈川や大阪など感染者が増えている地域は他にもあるが、そこには“ぜひ行って”という姿勢だ。西村康稔経済再生担当相は分科会後の会見で、東京以外を割引対象から外すことは「今は考えていない」としている。

 分科会メンバーの平井伸治鳥取県知事は都内で「東京都を対象外とするのは突然の話。大阪府をどうするのかという問題が出てくるかもしれない。(今後も)感染状況に応じて機動的に対応するべきだ」と状況によっては東京以外にも適用すべきとした。

 ほかにも地方からは「近隣県同士、ブロック内など地域限定の旅行を割引対象にすればいい」との提案が相次いでいるが、政府側はそれでは観光促進効果が薄れるとして“東京外し”のみで進める意向だ。

 感染者が少ない地方は、いまだ反対が多い。愛媛県の中村時広知事は「各地域が懸命に取り組んできた感染拡大防止の成果が一瞬で奪われる可能性もある」と危機感を表明している。

 キャンペーン開始の6日前の変更となったことで「東京の宿泊代が出ないならやめる」などと、東京旅行を予定していた人々はもちろん混乱している。