ミャンマー〝呪いの遺跡〟に急増 コロナ盗掘団の正体は?

2020年07月16日 16時00分

 【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ミャンマー中央部のバガン遺跡で盗掘が相次いでいる。

 約40平方キロメートルの平野に、大小3000とも言われる仏塔や寺院が点在。アジア最大級の仏教遺跡バガンは昨年、世界文化遺産に登録された。ミャンマー定番の観光地で、熱気球に乗り遺跡群を空から見下ろす人気ツアーは荘厳だ。ところが新型コロナウイルス禍で、年間50万人超の観光客はほぼゼロに。ホテルやレストラン、土産物店などは壊滅状態で、小さな仏塔や寺院群では管理人などがいなくなり無人となった。

 そこを突いた盗掘団が、6月ごろから遺跡を荒らし回るように。これまでに貴重な仏像や、古代の硬貨、宝玉などが持ち去られ、被害は拡大しているという。

 事態を重くみた地元当局は、警察と消防からなるパトロール隊を組織し、見回りに当たっている。ただエリアがあまりに広大なため、神出鬼没の盗掘を防ぐのにひと苦労。おまけに人の出入りが少なくなったため毒ヘビが増殖していることも、警備隊を悩ませている。

「ここ数十年、バガンが盗掘の標的になったことはなかった。初めての事態だ」と考古学者たちも頭を抱えている。盗掘集団の正体については「旅行者が消え、収入がなくなった地元観光業者では」との見方もあったが、地元民は否定的。「どれだけ生活が苦しくても、街のシンボルの世界遺産に手を付けるわけない。そもそも住民は、バガンの寺院に呪いがかけられていることをよく知っている」と、地元メディアの取材に答えている。

 ミャンマー最大の都市ヤンゴン在住記者が解説する。

「バガンの仏塔群は11~13世紀の間、当時の敬けんな仏教徒たちが私財をなげうって建造した。仏塔を寄進することは、最高の功徳。だから寄進者たちは自らの行いが未来にも残るよう、盗掘者が現れたらたたりがあるよう呪いを込めたと言われている。そんな伝説が今でも信じられている」

 バガンでもとりわけ巨大なダマヤンジー寺院は、地元“最恐”の心霊スポットとして有名だ。

 この寺院は12世紀、権力の座を狙って王の父と王子の兄を殺し、王位に就いたナラトゥが、その後贖罪のため建てはじめた。ところがナラトゥ王は何者かにより暗殺され、寺院は建設中のまま放置され今に至る。幽霊の目撃談がたびたび報告される、いわくつきの寺院なのだ。

 こうしたいきさつは地元民の誰もが知っていて、だからみな「盗掘団には間違いなくたたりがある」とささやき合っている。ちなみにミャンマーと日本の往来は、ビジネス客から再開。観光客の現地受け入れは10月ごろになりそうだ。 (室橋裕和)