香港初の地上波TV局「コウモリ食い」に批判の嵐 放送のタイミング最悪

2020年06月18日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】香港ディズニーランドが18日、5か月ぶりに営業を再開した。“密”を避けるため入場券は事前予約制で、入場者数も制限。体温測定とマスク着用が義務付けられるが、新型コロナウイルス終息を象徴するトピックに。

 一方、現地では今、ある人気番組が猛バッシングを浴びている。香港初の地上波局「無綫電視(TVB)」の「溢遊未盡(ネバー・エンズ)」という旅番組。台湾人テレビホスト、マルコ・リャオ(43)が世界中を旅し、現地の文化や食生活に触れるのだが、さる10日放送の回で食べた物がタイミング悪かった。

 訪れたのは500以上の群島からなる西太平洋のパラオ。現地では珍味としてコウモリを食べる習慣がある。食用にされているのは、果物や花などを食べる「フルーツコウモリ」で、体長は約30センチ。これをそのままショウガやスパイス、青菜などと煮込み、スープにすることが多いという。

 番組では、飼育されているフルーツコウモリにマルコがキスし“濃厚接触”する場面も。その後、数々の地元料理にトライし、コウモリの肉にかぶりつくマルコは「食感は鶏肉とあまり変わらない」「風味は鴨肉によく似ていておいしい」などと食レポ。スープも飲み干した。

 コウモリはパラオだけでなく、南太平洋各地でも貴重なタンパク源として食されてきた歴史がある。だが放送直後からTVBには視聴者の抗議が殺到。コロナはどこから来たかいまだハッキリしないものの、“震源地”中国・武漢市の市場で売られていた野生のコウモリが宿主ではという説が根強いからだ。

 SNSにも「香港でもようやく感染が収まってきたとはいえ、まだまだ油断できないこの時期に何考えてるのか」「さまざまな食文化が世界にあることは理解するが、どうしていま放映なのか」など、番組への苦情や意見が相次ぎ、大炎上。

 番組プロデューサーは慌てて「番組は台湾から買い取ったもので、ロケ自体はコロナ流行前に行ったと聞いている」と釈明。マルコも自身のフェイスブックで「パラオ取材は2019年の3月です。台湾では昨年6月に放映されています」と説明した。そのVTRを今になって香港側が買い取り、あまり検討もせずオンエアしてしまったのだ。

 まるで悪者扱いされたマルコは「撮影時に、地元の食文化には敬意を払いましたが、このタイミングで放映され、お騒がせしたことを謝罪します」と大人の対応。ファンからは好意的なコメントも多数寄せられている。TVBではこの放送回をお蔵入りにし、今後は流さないと発表した。

 なおコウモリを食べる文化は、太平洋や中国だけでなく、ラオス、インドネシアなどアジア各地にもある。ただコロナだけでなく、エボラ出血熱や狂犬病なども媒介する危険性が。食べるか食べないかは自己責任で。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。