新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの飲食店が経営難に悩まされている中、従業員に太っ腹な計らいを見せた企業がある。しゃぶしゃぶ店や日本料理店を運営する「木曽路」(名古屋市)が16日、全従業員約1300人に対し、1人あたり3万円の「特別慰労金」を支給すると発表した。

 同社では今月から、持ち帰りできる弁当や、しゃぶしゃぶセットの販売、デリバリー対応など、新たなサービスに取り組んでいる。ホームページには「この度の特別慰労金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、業務に従事する社員の日々の奮闘に応えるためのもの」と記されていた。役員を除く全社員に支給されるという。

 同社に問い合わせたところ、担当者は「慰労金の支給は社長の決断です。新型コロナウイルスの影響で、弊社の経営状況も決して好調ではありませんでしたが、大変な状況下でも頑張ってくれている従業員の皆さんのために、特別慰労金を支給することとなりました」と明かした。

 飲食業界は、新型コロナによって大きな打撃を受けた。特に緊急事態宣言が出された4月は、外出自粛要請が出された影響で、多くの飲食店が営業時間の短縮や休業を強いられた。当然、売り上げも激減し、4月に倒産した飲食業は80社に上る。これはバブル崩壊当時の1992年以降では最多だという。

 そんな厳しい状況にある中、「木曽路」が支給する特別慰労金の総額はいくらになるのか? 1300人に3万円ずつ支給するとなると、単純計算で3900万円の費用が必要。決して安い出費ではないだけに、SNS上では「従業員を大切にしている会社」「こういう気持ちがうれしい」など、称賛の声が上がっている。