フグちょうちんはどうなる? 大阪市の老舗フグ料理店「づぼらや」の閉店が分かり、地元市民のみならず全国にショックが広がっている。

 1920年創業のづぼらやは、通天閣近くの新世界本店と、道頓堀店の2店舗を経営しているが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、4月8日から休業。このまま再開することなく9月15日に閉店する。

 同社関係者は「建物が古くなっているのもありますし、コロナ後も見据えて判断した」と話した。閉店の報道を受け、市民からは「名物のポン酢が食べられなくなって寂しい」「誰かに引き継いでもらえないのか」などの声が寄せられているという。

 寂しいのは通天閣観光の高井隆光社長も同じだ。

「ニュースを聞いてビックリした。何年か前から駐車場やビルなど不動産を売却されていて『しんどいんだろうな』とは思っていたが、通天閣とづぼらやは新世界の“2枚看板”としてやってきただけに、相方をなくしたようで残念で寂しい。明日は我が身と身の引き締まる思いもある」

 高井社長が2枚看板と言うように、づぼらやの店先につり下げられた巨大なフグちょうちんは、通天閣と絡めると「ザ・大阪」的な写真が撮れる絶好のフォトスポットだ。づぼらやによると昭和30年代前半に設置されたといい、通天閣やグリコの看板(道頓堀グリコサイン)などと並ぶ大阪の代名詞的な存在になっている。

 それだけに、大阪市民も「あのフグ、どうなるん?」と行方を気にしているが、地元関係者は「市もヤボなことは言うてないやろうけど、道にはみ出しまくってるから、実は違法広告物なんよね。そうなると、そのまま引き取りたくても引き取りにくい」と明かす。その上で「新世界は大阪の中でも特に“コテコテ”な場所。むしろ、松井市長は誇大看板だらけにするような外観特区の条例でも打ち出してくれたらいいと思うんやけどね。あのフグも通天閣とマッチしてるしな」と提案した。

 づぼらや関係者は「ちょうちんがどうなるかは全く未定です」と話しているが、このまま消えてしまうのは、なんとも寂しい。