“紀州のドン・ファン”遺産裁判開始 手書き遺書に地元でも疑問の声

2020年06月10日 16時15分

野崎幸助さん

 不審死の真相だけでなく遺言も謎だらけ――。2018年5月に急性覚醒剤中毒で死亡した“紀州のドン・ファン”こと和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(享年77)が「全財産を市に寄付する」とした遺言書について、野崎さんの兄(86)ら親族4人が、無効の確認を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日に和歌山地裁で開かれた。

 原告側代理人は閉廷後に「田辺市が莫大な費用をかけて手続きを進めているのに、(寄付が)野崎さんの遺志だとする理由を示せていない」と述べた。

 一方、被告となった遺言執行者の弁護士は請求の棄却を主張。「遺言執行者は、遺言書が有効か無効かを争う立場ではない。遺言書が有効につくられた前提で手続きを進めている」と話した。

「個人の全財産を田辺市に寄付する」などと記された13年2月8日付の遺言書は野崎さんの死後に見つかった。訴状によると、原告側はコピー用紙1枚に赤ペンで手書きされた遺言書は熟慮の末に作成したとはみられず、保管や発見された経緯も不自然などとし「野崎さん以外が遺言書を作成し無効だ」としている。

 市は約13億5000万円とみられる遺産の受け取りに必要な弁護士費用など、約1億1700万円を含む20年度予算を可決している。しかし、野崎さんを知る地元関係者は「野崎さんは地元で、たいがいあくどいことをしてきてるから、恨まれてることはあっても好かれてることはなかった。市とも不仲だったはずだし、寄付なんてするはずないと思う」と遺言書の内容に疑問を呈する。

 遺産を巡っては、野崎さんが「全額を市に」と遺言を書いても、遺留分として妻のSさんにも一部を相続する権利がある。前出の地元関係者は「もともとSさんはカネ目当てで結婚してるし、野崎さんも承知してたけど、遺産は(愛犬の)イブちゃんにとは聞いても、Sさんにとは聞いたことがない。遺言が認められたら、Sさんは市のお墨付きで円滑に財産の一部を受け取れ、親族とのもめ事からも解放されるからね」と話す。

 県警は現在も不審死として捜査しているが…。