コロナ余波と略奪で2度死んだNY それでも被害店舗“焼け太り”のワケ

2020年06月09日 16時15分

無残に荒らされたソーホーの人気ブランド「3.1フィリップリム」店内

 白人警官による黒人男性暴行死事件に対する人種差別抗議デモは、全米で拡大の一途。新型コロナウイルスの自粛ストレスが爆発した格好だろうか。

“ファッションの中心地”ニューヨークでは今月頭、そのドサクサ紛れで地元ギャングらによる略奪が横行。コロナ休業中の有名ブランド店が軒並み破壊された。

「グッチやシャネル、シュプリーム、アップルストアなど、5番街やソーホー(ともに高級ショッピングエリア)の人気店は大体全部やられた。宝石や貴金属店も格好の標的で、5番街で一番被害が大きかったのがロレックス。240万ドル(約2億6000万円)分の時計が盗まれたとか」とは地元ファッション関係者。

 ソーホーにある人気ブランド店が荒らされた後の写真を入手したところ、マネキンは倒され、ガラス製展示ケースは粉々に砕かれ、引き出しの備品もかき乱され、しょうしゃな白塗りの店内はグチャグチャだ。

 聞けば「でも、店側は泥棒に入られても保険である程度カバーできるどころか、逆に儲かる」(同関係者)という。

「大手ブランドは大体、税金対策で高い保険に入ってるから、被害額の数倍の金が保険会社からもらえる。個人経営の店とかはそうもいかないが、私の父親がかつてブロンクスでやっていたスポーツ用品店もそうだった。500万円ぐらいの泥棒被害に遭い、その5倍の金が戻ってきた」

 名だたるハイブランドは今春以降、何十億円規模のイベントを開催するはずだったが、コロナ余波で、すべてキャンセルになった。破産する人気ブランドも出始めた。同関係者いわく「コロナで誰も服を買うという気持ちにならないし、業界全体がここ半年死んだ状態だった」。つい最近になり再開の兆しが見えてきた矢先にこんな騒動が起きてしまった。

「仕事もできず経済活動再開を待っている我々には大迷惑。デモを支持する、しない以前の問題。こういう便乗があるから、いくら正義を振りかざしても全然説得力がない。アメリカは将来的にダメになるんじゃないかな」と同関係者もあきれている。