コロナ禍で病院実習ができない 看護学生の悲鳴を国はどう聞く

2020年06月06日 16時00分

 新型コロナウイルス禍で、看護師を目指す学生の実習の受け入れを停止、延期する病院などが続出、不安の声が上がっている。

 看護学校側が国家試験受験資格として義務付けている病院などでの実習は、例年3~4年生が4~11月に行われ、2月の国家試験を受験するが、今年はコロナの影響がもろに出ている。学生たちの中には無症状感染者がいる可能性もあり、患者と接すれば感染させかねない。逆に学生側が病院で感染する可能性もあるからだ。

 ある看護学生は「受け入れてくれるという病院でも、まずは過去に感染していたかを調べる抗体検査を受け、陰性が確認された学生に絞られるといわれている。でもその検査すらまだ受けられない。もし検査で陽性だった場合、留年しなければいけないのか、その場合の学費は、国が補償してくれるのかもわからない」と語る。

 厚生労働省と文部科学省は今年2月、学校側に対し「実習に代えて学内実習を行えば国家試験の受験資格を認める」と特別措置を通知。だが、学校側からは「代替授業といっても具体的に何をすれば十分なのか、現場を知らずに卒業させていいのか」という懸念の声も上がっている。

 この事態に、76万人の看護師が登録する日本看護協会は、厚労省などに(1)実習に代わる教育方法に関する範囲等の提示(2)教育方法にかかる費用の補助(3)看護学生の就職活動に関する配慮――を求める要望書を提出した。

 病院関係者は「本来は所定の実習時間をこなさないと国家試験は受けられない。今年だけの特別措置だろうが、本当の大変さがわからないし、受け入れる側も指導に時間がかかって本来の業務に支障が出るのでは。就職して初めて現実を知って、辞める看護師も増えるのではないか」と話している。

 コロナとの闘いでは、看護師をはじめ、医療関係者の存在は欠かせないが、国は何らかの指針を示すべきだろう。