池上彰氏が見た「シリア難民問題」仰天光景

2013年09月28日 16時00分

国連UNHCRで報告会を行った池上彰

 ジャーナリストの池上彰氏(63)が27日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)主催のシリア難民問題報告会に出席。10万人を超える避難民が暮らすキャンプ地で池上氏が仰天した光景とは――。


 シリアでは2年以上に及ぶ内戦、サリンの使用などで混迷が深まるばかりで周辺国には避難民が殺到している。池上氏が今月訪問したのはシリアの南に位置するヨルダンのザータリ難民キャンプ。砂漠地に12万人の難民が生活を送っている。


 昨年11月にテレビ局での取材以来、2度目となる池上氏は今回手弁当での視察で、難民キャンプは劇的な変化を遂げていたという。


「昨年は入場ゲートで難民を一人ひとり聞き取りで登録し、毛布などを渡していたのが、また難民のフリをしての二重、三重取りが起きる。今はパソコンで目の虹彩を記録する。指紋は消したり、ごまかしができるが虹彩はできない。まさに目からウロコでした」(池上氏)


 事態の長期化で難民の数は膨れる一方で、住居はテントからプレハブやコンテナにグレードアップ。車1台が通れた目抜き通りは、3000店以上の商店街へと変貌し、シャンゼリゼ通りと名づけられているという。「日本の戦後の闇市のようで、物資はヨルダンの人から仕入れているのでしょう。交差する通りも人呼んで(ニューヨークの)五番街になってきている」


 キャンプは、ヨルダンでは4番目となる人口規模になっている。「避難民が自立するというのは良い半面、安い賃金での労働力が入り込み、物価安も招く。また12万人中、20歳未満が6万5000人。教育問題も抱えている」


 難民問題の解決は、シリア内戦の停戦しかないが、糸口は見えないまま。「多くの難民が亡くなっている現状を国際社会が見逃していいのか。第5次中東戦争に発展し、日本向けの石油が8割通過するホルムズ海峡が封鎖されるかもしれない。こう考えれば少しは身近な話題になるのでは」と池上氏は事態の深刻さを訴えた。