米国・ミネアポリスで先月、黒人男性が白人警官らに路上で首を押さえ込まれ死亡した問題をきっかけに同市で起きた抗議デモは、暴徒化した若者たちによる大規模な暴動にエスカレート。混乱が全米の主要都市に飛び火する中、トランプ大統領は、扇動しているのが極左思想の過激派集団「ANTIFA」だとし、国内テロ組織に指定するとツイートした。

 ANTIFAとは「反ファシズム」を意味し、“アンティーファ”と発音される。

 実はこの集団、リーダーを持たず、中心的組織もないとされる。抗議デモでは黒いマスクと黒のTシャツなどを着た若者たちが、黒と赤が基調のANTIFAの旗を手に破壊活動や暴力行為を繰り返すのだ。

 今回は首都ワシントン、デトロイト、ロサンゼルスを含む全米約40都市以上で夜間外出禁止令が出ており、トランプ大統領はANTIFAが暴動を扇動していると断定。

「根性のない極左勢力が抵抗しない人たちだけを狙い、野球のバットで頭を殴りつけている」とツイートした。

 米CNNによると、トランプ氏のこのツイートに対し、米国内だけでなく、ドイツでもANTIFAの活動家が数千件単位のツイートで反発し、結束を呼び掛けている。

 また、ロンドンの米国大使館前でも、なぜか米警察当局に対する抗議デモが行われたという。

 そんなANTIFAの存在が大きくなったのは、2017年1月のトランプ氏の大統領就任前後だ。CNNによると、“反人種差別主義”や“反白人至上主義”を掲げてデモ活動を繰り広げ、トランプ支持者の集会で大暴れし、多数の逮捕者を出したこともある。

 一方、ミネアポリスの暴動について、同市のジェイコブ・フレイ市長は「白人至上主義者や犯罪組織、州外からの扇動者、それに可能性として外国人も入り交じり、われわれの町や地域を破壊しようとしている」と発言した。

 新型コロナによる死者が10万人を超え、なお終息が見えない米国に追い打ちをかけるような全米規模の大暴動。市長の言う「州外からの先導者や外国人」がANTIFAの活動家だとしたら、その背景に何があるのか気になるところだ。