手続き煩雑「雇用調整助成金」は欠陥だらけ!

2020年05月27日 16時20分

 政府は27日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、追加経済対策を実施するため、2020年度第2次補正予算案を閣議決定する。雇用維持や中小企業への家賃支援などが柱で、事業規模は100兆円超となる見通しだ。国も地方自治体もコロナ自粛で苦境に陥った企業、個人などを救おうと、さまざまな助成金や補助金を打ち出しているが、どうにも不備だらけのよう。各方面から不満の声が出ている。

 感染拡大で業績が悪化し、労働者を休ませた企業に支給する「雇用調整助成金」は、日額上限を現在の8330円から、4月1日までさかのぼって1万5000円に引き上げる。6月30日までとしていた特例期間を9月30日まで延長する方針だ。

 しかし、厚生労働省は先日、雇用調整助成金の支給決定件数は21日時点で1万7392件となり、申請件数の半分程度にとどまると明らかにした。手続きの煩雑さが壁になっているようだ。

 助成金に詳しい特定社会保険労務士の中島啓吾氏はSNSにこう投稿した。

「GW中にお休み返上で、総務の方々や多くの社労士が自社や関与先の資金繰りを考え助成金の獲得額をシミュレーションしていたのを、一発で吹っ飛ばす要件緩和。。。緩和だからいいでしょ?では済まされませんよ。 僕たちの時間を返してください」

 その中島氏は本紙に「『要領』と呼ばれる助成金のルールが雇用調整助成金に関しては3か月で10回以上変更したんですよ。それもしらっと大事な部分がノーアナウンスで変わるんです。たび重なる変更に我々社労士でもついていけないです。1000人を超える社労士で、フェイスブックやチャットワークでグループをつくり、変更点をウオッチしてようやく対応してます。一番しわ寄せがくるのが、現場のハローワークの職員や事業主の提出代行をしている我々社労士ですわ」と明かす。

 鳴り物入りで導入した雇用調整助成金の電子申請のシステムも不具合があるようだ。

 中島氏は「開始30分で、他社が申請した情報が見えるという致命的なシステムミスが発覚し、復旧のメドが立ってないんです。定額給付金と同じく、現場のハローワークは郵送を推奨し始めてます」と言う。

 一方、中小企業に対する家賃支援補助金については財源が厳しい地方自治体の独自のルールで、受給が制限されるなどのトラブルが生じている。

 神奈川県鎌倉市が始めた中小企業家賃支援補助金は、今年4月の売上高が確認できる書類と昨年4月の売上高が確認できる書類を要件にしていることが市民の反感を買っている。

 中小企業経営者は「介護業界、建設業界、イベント業界等は2月の売り上げが4月に着金します。コロナの影響を受けていなかった2月の売り上げが4月に入金することで、4月にコロナ禍による損失があまり出てないように判断されてしまいます。補助金がもらえなくなるという理不尽さを抗議しても、民間に勤務した経験がない役所の人間には分からないのです」と語る。

 ある経営コンサルタントは「他の地方自治体では、別の月の売り上げでも対応しているのに、4月と固定しているのは、要件を厳しくして、財源の枯渇を避けようとしているのかもしれません。都心では、売上月を調整して、売上差が大きな月を生かした申請をすることで上限の補助金が連休明けから入金されています」と指摘する。

 また、中小企業庁が始めた中小法人・個人事業主のための持続化給付金にも、落とし穴がたくさんある。

 フリーランスのデザイナーは「振り仮名が半角片仮名でなかったというだけで、申請してから2週間もたってから差し戻し。半角片仮名はマックだと入力できないのです。電子申請のシステムを作った人は、ウィンドウズしか知らないのかもしれません。緊急事態で早くお金を出さないと潰れちゃう事業主を救うための給付金という意味が分かっているのでしょうか」と怒っている。