タイのロックダウン限定解除も「まるで監獄」タイすきも“独り鍋”

2020年05月21日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイでは17日からロックダウンが限定的に解除され、ショッピングモールも再開された。夜間外出禁止令も朝晩各1時間短縮され、午後11時から午前4時までとなった。

 厳しい外出・営業制限が功を奏し、新型コロナウイルス感染者は4月から減り始め、今月13日には新規感染者ゼロ。累計約3000人が感染し、2800人以上が回復し退院、死者は60人未満にとどまっている。これを受け、3日からレストランの店内飲食を認めるなど“出口戦略”を進めてきたが、今回はその第2弾。

 ただ、各モールは政府の指導を受け、厳格ルールを定めている。中へ入るにはマスク必須、手のアルコール消毒や体温検査があり、その後あるのが「チェックイン」と呼ばれる手続き。店頭のQRコードをスマホで読み取り、携帯番号など個人情報を入力しなければならない。これでモール側は、客の人数や行動を常に把握できるわけだ。

 感染者が出た場合、その周囲にいた人へすぐ連絡がいくが、市民からは「人権侵害では」という指摘もある。なお、スマホを持たない高齢者や子供は受付で登録しなければならず、IDカードが必須。外国人はパスポートがIDとなる。

 モール内でも、エスカレーターは3段ごとの間隔を空けねばらず、客も店員も1・5メートルの社会的距離を保つ。店舗に入るにはまた体温検査など、細かい規則がある。

 飲食店では各テーブルに1人しか座れず、カップルや家族連れも離される。複数人で鍋を囲むタイすきでさえ、各人に鍋が用意され、寂しい“独り鍋”を強制される。そしてモールを出るときも、やはりスマホで「チェックアウト」の手続きが求められる。

 ふだんは「マイペンライ(気にしない)」がタイ人の国民性だが、こうした新しい生活様式に変わり、利用者からは「これじゃまるで監獄だ」「リラックスできない」という声も上がっている。

 首都バンコク北部で週末だけ開き、外国人観光客に人気の屋外マーケット「チャトゥチャック」も営業再開。18日からは各県をまたぐ長距離バス、航空路線も一部国内線で運行・運航の再開となった。「タイ国政府観光庁(TAT)は衛生基準を満たした店や施設に認証を与えるなど、清潔さを売りに観光客を呼び戻す方針」(バンコク在住記者)

 もう一つのタイ名物といえば、ナイトスポットだ。雑多で“3密”イメージの強い歓楽街がいつ営業を認められるのかと気をもむ日本人タイフリークも多い。

 タイ観光スポーツ省では、まず国内旅行を再開し活発化させていく方針。その後、国ごとに観光客を受け入れ、国際線の再開は早ければ7月1日を予定している。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。