豪華客船の乗員いまだ海上に10万人 多様な国籍、国ごとの規制が障害に

2020年05月19日 16時15分

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(ロイター)

 新型コロナウイルスの集団感染が2月に発生して以来、横浜港に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が先週末、ようやく同港を出港した。東南アジア出身の乗員らを帰還させるため、マレーシアに向かった。

 だが、世界にはまだ10万人以上の乗員が帰国できないまま、乗客のいない豪華客船に海上で取り残されているという衝撃事実が明らかになった。

 米紙マイアミ・ヘラルドによると、マイアミからカリブ海のキューバやバハマを結ぶ海路には、数十隻のクルーズ船がさまよい、時折、米フロリダ州の港に給油や食料補給のために寄港、もしくは沖合で順番待ちをしている。乗員の多くはすでに無給で「一体いつになれば帰国できるか分からない」というのだ。

 新型コロナ感染の拡大で、クルーズ船運営会社が運航の一時中止を決定したのは3月上旬。2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行の経験から、早期の終息を予想し、30日間だけの予定だった。

 ところが、4月9日に米疾病対策センター(CDC)が乗員間の感染蔓延を理由に、早くても7月下旬まで補給などの例外を除き、米国の水域をクルーズ船が航行することを禁ずると発表。

 さらに帰還を困難にしているのが乗員の国籍が多岐にわたり、国ごとの規制が様々なことだ。

 例えばハイチやフィリピンの場合、帰国前にPCR検査を受けることを義務づけ、カリブ海のグレナダなどは帰国後、検疫期間の滞在費用を運営会社に求めている。

 同紙によると、マイアミに本社を置く世界最大のクルーズ船運航会社カーニバル・コーポレーションが帰還させた乗員は37%にすぎず、同じフロリダ州のディズニー・クルーズ・ラインも3割にとどまっている。

 一方、地中海クルーズが中心のスイス・ジュネーブにあるMSCクルーズは76%の乗員を帰国させたという。

 同紙は関係者の話として「フロリダ周辺にいる船の運営会社は国ごとに規制が違い、また高額なチャーター機での帰還を避け、カリブ海域の空港が再開されるのを待って乗員を帰国させたい考えだ」と報じている。空港の再開がいつになるのか、先が見えない状態が続いている。