新型コロナウイルスの感染拡大後、初めてとなる世界保健機関(WHO)年次総会が日本時間18日午後、テレビ会議の形式で始まった。焦点の一つだった台湾は招待されなかった。

 また、米国やオーストラリアを中心に西側諸国が強く求めている新型コロナの発生源をめぐる独立した検証については中国が猛反対する一方、約100か国が検証を求める構え。その中にはこれまで“あちら側”だったロシアも含まれている。

 総会には194加盟国の代表が参加。台湾については、日米やEUなどがオブザーバー参加を求めていた。だが、台湾の呉ショウ燮外交部長(外相)は総会を前に「招待されていない」とした上で「中国からの圧力に屈し、2300万人の台湾住民の健康を軽視したWHO事務局の決定を極めて遺憾に思う」と批判。WHOは台湾参加については「加盟国が決めること。事務局に決定する権限はない」としている。

 総会のもう一つの大きな焦点となる、発生源の検証を求める決議案については西側と中国で激しく対立している。

 米CNNによると、もとはオーストラリアが「感染拡大を招いた中国の関与と責任を追及する独立した調査」を強く要求。だが、提出される決議案は中国を特定せず「公平で独立した包括的な検証の実施を求める」という文言にとどめている。このトーンダウンは「これまで中国と歩調を合わせてきたロシアなどの加盟国を、より多く決議案の賛成へと取り込むための妥協だろう」とCNNは分析する。

 これに対し、中国の広域経済圏構想“一帯一路”に組み込まれ、経済支援を受けるアフリカ諸国などが反対に回ると予想される。

 CNNによると、西側諸国を中心に過半数となる約100の加盟国が決議案を支持するとみられるが、実際に可決されるかどうかは流動的だ。

 中国の習近平国家主席は「テドロス事務局長の指揮下、WHOは世界規模での対応に多大な貢献をした」と評価し、新型コロナ対策で今後2年間にわたり20億ドル(約2100億円)を拠出すると表明した。

 総会は19日まで行われる。