経歴詐称疑惑報道との関連は――。楽天が30日、新型コロナウイルス感染の有無が分かるPCR検査キットの販売を一時的に見合わせると発表した。検査キットの開発会社のジェネシスヘルスケア株式会社(G社)の取締役会で、代表辞任を含む経営体制の変更が決議されたことに伴う判断としている。

 検査キットは、無症状の感染者が知らないうちに感染を拡大させてしまうことなどを防止する目的で、楽天が代理販売を開始。G社は楽天の出資先で遺伝子検査も手がける。そのG社代表のS女史について、30日発売の週刊文春が「“女医代表”に経歴詐称の過去」と報じた。

 同誌によると、S女史はG社の前身の会社で別名で活動していた時に「米国の心臓外科医」「コーネル大学の医学部を卒業した」としていたが、同誌が大学側に旧姓も含めた名前を照会すると「卒業生ではなく、医師免許も保有していない」との回答だった。

 同誌にG社は「Sは長く米国で生活しており、母国語は英語。日本語が母国語でない事から、事実確認が不十分だった」と経歴詐称はコミュニケーションの問題と回答。

 一方の楽天は、外国籍の社員が約半数という部署もあり、社内公用語は英語として知られる。このため、G社の文春への回答が、ある誤解を広げているという。

 楽天の20代の女性社員は「入社前にTOEIC800点取得を課され、クリアできない人は希望していた開発部に入れなかった事実がある。今回のG社の回答を、楽天のものと勘違いし『楽天の人、英語話せないの?』と誤解している人もいる」と迷惑顔で話す。

 もっともG社は30日、S女史の取締役辞任は「一連の報道の内容とは関係なく、当社の検査キットの性能、信頼性とも関係はございません」とホームページで表明。S女史は経歴詐称疑惑については、はぐらかしたまま表舞台から去った形だ。