中国共産党vs邪教 コロナ終息傾向も攻防戦激化

2020年04月23日 16時00分

1元札で布教活動。左上には「20.6万人を不当起訴した悪の首魁・江沢民(元国家主席)」とスタンプ

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】新型コロナウイルスの感染拡大が地球規模で進むなか“感染源”中国は終息傾向だが、ここ数か月の国家的非常事態の陰で、中国共産党(中共)と宗教団体の攻防戦が激しさを増している。

 中国では「宗教はアヘン」とされ厳しく統制されている。「法輪功」「統一教会」「全能神」など、中国共産党の指導に従っていない15の宗教を公式に「邪教」と定め、徹底摘発。

 宗教団体側も負けてない。とりわけ法輪功は「中共打倒」を掲げ、かねて中国国内で地下活動を繰り広げている。中共批判の言葉をスタンプで押した紙幣を流通させたり、教団の教えを説く小冊子を夜の闇に紛れてポスティングしたりと、監視の目をかいくぐって信者を総動員。日本でも、浅草などの有名観光地で中国人観光客に反共ビラを配ったりしてきた。

 そんな中、降って湧いた中国発のコロナパニック。宗教の側からすれば、パンデミックを引き起こした悪政を叩く絶好の機会だ。

 米国に本拠を置く法輪功系メディア「大紀元」は、連日のように中共批判記事を発信。裏付けはともかく「新型コロナ生物兵器説」もいち早く取り上げた。今では新型コロナを「中共ウイルス」、新型肺炎を「中共肺炎」呼ばわりし、中国批判はエスカレートする一方だ。

 中国国内に潜む信徒たちもそれに呼応し、ここぞとばかりに非公然活動を活発化。法輪功の教えが免疫力を高めるといったチラシや、中共支配が今回の事態の元凶だと訴える冊子を各地でばらまいた。各地の中共機関などに、法輪功の教えを説き脱党を勧める文書が送りつけられたりも。

 対する中共側は、省や自治区から市・区レベルに至るまで、全土でくまなく組織される「中国反邪教協会」と公安当局が一体となり、法輪功信者たちが混乱に乗じて「精神毒品(精神的ドラッグ)」を流しているとして、取り締まりを断行。

 上海在住記者によれば「国と宗教の戦争で、明らかに分が悪いのは“邪教”側」だという。

「布教チラシを車のワイパーなどに挟んで回るにしても、人がいない街中では露見しやすい。街では感染状況を調べるためのローラー検査も突発的にあるしね。感染者ではなく、部屋から大量の布教チラシが見つかって逮捕なんて事例もあった。捕まった信者は収容所に連行され拷問されるとも、移植用に臓器を抜き取られるとも言われる。それでも布教チラシのポスティングがなくならないのは、信仰の力と言うべきか」

 中国は「新型コロナウイルスによる肺炎との人民戦争、総力戦、阻止戦」という言葉を公式に使い、その強権で宗教団体もドサクサ紛れに制する勢いだ。しかし「ウイルスが根絶できても、信仰心は消せないだろう」(同記者)という声もまた根強い。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。