歯科医にも迫る「医療崩壊」危機

2020年04月21日 07時00分

 新型コロナウイルスの感染拡大で何より恐ろしいのは医療崩壊だ。東京都医師会の尾﨑治夫会長は医療崩壊を防ごうと、「医療的緊急事態宣言」を出したり、会見やSNS、都医師会ホームページなどで頻繁に情報を出している。

 一方、コンビニより多いといわれ、あまりにも気軽に利用されてしまう歯科医院でも医療用マスク、医療用グローブ(ゴム手袋)、防護服や消毒用アルコール不足が深刻になっている。

 先月の米紙ニューヨーク・タイムズによると、職業別感染リスクでもっともリスクが高いのは歯科医だったという。

 それはそうだろう。新型コロナは飛沫感染と接触感染でうつるが、要するに唾液でうつる。歯科医師は患者の口の中に指を入れる。歯を削ったり、クリーニングする際、唾液は数メートル飛散する。感染リスクが高いに決まっている。それなのに、外出自粛の中、歯のクリーニングは“必要な外出”だとして、歯科医院に行く人もいるという。

 都内のある歯科医は「感染症に対応する病院ほどの忙しさはないですが、感染の危険度は同じですから、歯科医もマスクと手袋不足に困っています。患者がコロナかもしれないと思って病院に行くのと違い、歯科医院にはかぶせモノや詰めモノが取れたとして、気軽に患者が来ます。その方たちは無症状感染者かもしれない。それなのに医療用マスクも手袋も防護服も、新規でなかなか手に入らないんです」と明かす。

 多くの歯科医は新型コロナ蔓延前から、マスクやゴム手袋を備蓄していたという。

「病院は感染症チェックしてオペするけど、歯科医院では患者が感染症なのかどうかは自己申告。だから、歯科は全患者が何らかの感染症かもしれないという前提での標準予防策を行うので、マスクや手袋を大量に備蓄しているんです。どこの歯科医も今はまだ備蓄があると思いますが、数か月後は分からない」(同)

 歯科医院の備蓄が尽きてしまえば、休業せざるを得なくなる。医療物資が歯科医に十分に行き渡らなければ、歯痛を患った時、困るのは我々だ。