新型コロナウイルスによるパンデミックの発端の地でありながら感染情報を隠蔽したり、甚大な被害に苦しむ欧州などに欠陥の検査キットなどを売りつけたとして、世界から怒りを買っている中国。今度は黒人、アフリカ出身者への「差別」問題が持ち上がっている。

 広東省広州市では、米ファストフード大手マクドナルドの店舗が「黒人の入店を禁止する」と告知を出して批判が殺到する騒ぎがあり、マクドナルド本社は14日までに声明で「われわれの価値観を表すものではない」と謝罪した。米メディアが伝えた。

 広州市では「アフリカ出身者がウイルスを持っている」とのデマが広がり、差別が深刻化している。黒人入店禁止の告知を伝える動画がインターネット上で広がり物議を醸し、マクドナルドは直ちに告知を撤去、同店を一時的に閉鎖した。

 北京、上海とともに中国3大都市とされる広州市。米CNNによると先週、当局が国外からの新型コロナ流入への危機感から、アフリカからの労働者や留学生に対してPCR検査と、直近の渡航歴の有無にかかわらず14日間の検疫を強制した。また、「滞在先のアパートやホテルから追い出され、ホームレスになったアフリカ出身者がかなりの数存在する」という。

 中国では新型コロナ感染がすでに終息したとされるものの、ここ数週間は外国人入国者による感染の“第2波”が懸念され、その恐怖心が黒人差別を助長しているというのだ。

 一方、ウガンダや南アフリカ、ナイジェリアなどアフリカの各国メディアは、中国の警官が街頭でアフリカ出身者に嫌がらせをする様子や、ホームレスになったり検疫で室内に閉じ込められた同胞を撮影した写真や映像をニュース番組で連日報道。

 SNSでも同様の画像や動画が拡散し、アフリカ各国の市民は中国による人種差別に猛反発。中国外交部は「全ての外国人は平等」だとして差別を否定しているが、外交問題として深刻さが日々増している。

 中国政府は近年、アフリカ諸国への戦略的な援助外交と経済進出を推進。2018年は計約6兆6000億円の経済支援を表明した。だが、今回の騒動で、こうした外交戦略が破綻する可能性をCNNは指摘している。