安倍首相の緊急事態「発出」表現 令和に「命令」イメージつけないため?

2020年04月09日 16時00分

 安倍晋三首相が緊急事態宣言に際し「発出」と表現したことが一部で違和感を呼び、昨年議論になった元号・令和の「令」の意味はやはり「命令」の「令」だという解釈も改めて持ち上がった。

 8日の一般紙朝刊の1面(東京版)の大見出しは、同宣言について「発令」が3紙、「宣言」が2紙と文言が分かれた。安倍政権への論調が異なる朝日と産経が「宣言」を使う珍しい?一致も生じた。

 コロナ感染防止に向けた緊急事態宣言について、安倍首相は「発出」と口にしている。7日の宣言を受け、ネット上には「緊急事態宣言は『発令』でなく『発出』するものだったんだ」などと違和感も寄せられた。

 緊急事態宣言で可能になるのは、多くが都道府県知事を通じた対象区域住民や施設への要請や指示で「命令」はない。だが、法律に基づいた要請は命令色が強まる。さらに、土地や建物については強制使用が可能になる。こうした措置に「命令」感を抱く人は「発令」が腑に落ちる。

 そもそも、発令には「法令・辞令・指示などを出す」との意味があり、緊急事態宣言と矛盾するものではない。一方の「発出」は、あくまでも「出す」ことを強調したいとみられる。

 安倍首相の言葉遣いについて「令和の『令』に命令のニュアンスが含まれることを自覚しているからでは」との指摘もネット上ではみられる。つまり「発令」を避けることで令和のイメージを守ったという見方だ。

 令和の「令」については、海外メディアが「命令」の意味合いで翻訳したのに対し、外務省が調和を意味する「ビューティフル・ハーモニー」を打ち出した経緯がある。日本国内でも「命令」か否かで議論を呼んだ。

 昨年は「ONE TEAM」のラグビー日本代表のW杯快進撃が、令和元年を「美しい調和」で彩った。今年は一転、コロナで私権の制限も伴う法改正が実現。ネット上では「令とは命令」との断言調も飛び出している。