羽田新ルート 航空機騒音でタワマンの資産価値下落も

2020年03月30日 16時25分

 都心上空を通過する羽田空港の新飛行ルートが29日、運用開始となった。2月からテスト飛行が行われ、想像以上の騒音と威圧感にへきえきとしている住民も多い。影響が大きいエリアは?

 これまで羽田空港への着陸は東京湾を通過していたが、新ルートでは南風が吹いた際の午後3~7時の間で、さいたま市付近から南下し、新宿、渋谷、品川付近を徐々に降下する。

 1日当たり50便の発着枠が増えることで、東京五輪・パラリンピックの観戦客や訪日外国人客の増加を見込んでの新ルート導入だが、人口過密エリアを通過するため騒音や落下物などが問題視されていた。テスト飛行で、周辺住民の反応はさまざまだった。

「榊マンション市場研究所」主宰の榊淳司氏は「新ルートで一番悪い影響が出てくるのはタワマンでしょう。新宿、渋谷はまだ飛行機との距離があるうえ、もともとうるさいので、騒音はそうでもないが、白金台や品川、大井町は大変です」と話す。

 飛行機は新宿で約1000メートル、渋谷は約700メートル、品川、大井町は約300メートル上空を飛ぶ。「タワマンは上層階になればなるほど、飛行機との距離が近くなる。30階なら高さ約100メートル、40階なら120メートルで、大井町のタワマンだと飛行機との距離は200メートルを切ってくる。乗客の顔も見えるくらいでは」(榊氏)

 2027年のリニア中央新幹線開通へ向け、再開発が進む品川一帯は地価も高騰してきた。「新ルートで飛行機が飛んでいるのを見て、嫌になる人は多い。最近できたタワマンなら遮音もしっかりしているが、10年ほど前に新ルートを想定していなかったところはサッシ(窓枠)も揺れる。中古で売る時は苦労するでしょう」(榊氏)

 もっとも新型コロナウイルスの感染拡大で運航本数は激減。終息するまでは新ルートを通過する便も大幅増にはならない。管轄する国交省としては“静かなスタート”を切れたのはコロナ禍が幸いしたともいえるが、いずれ周辺住民の怒りが爆発する日はやって来る。