米国では新型コロナウイルスによる死者が1100人超。感染者数は8万2000人を超え、中国やイタリアを抜いて世界最多になった。その米国から“逃げ遅れた”中国人のセレブ留学生たちの帰国ラッシュが続いている。といっても国際線はほぼ壊滅状態。学生らは1人2万ドル(約220万円)以上支払い、大慌てでプライベート機をチャーターしている。

 チャーター用のプライベート機は小型のため、中国までのフライトには数回の給油が必要だ。そのため「アイランドホッピングのように太平洋の島々に立ち寄り、60時間かけて帰国している」とロイター通信が伝えた。

 上海在住の中国人弁護士ジェフ・ゴング氏は、ウィスコンシン州の高校に留学している娘が心配で、小遣い18万元(約280万円)を送るか、プライベート機の航空券を手配するか、どちらかを選ぶよう聞いたところ、娘は「おカネはいらない。すぐに帰国したい」と即答したという。

 全米各地の空港では24日時点で、中国発と中国行き定期便の計3800便中、3102便がキャンセル。その数は増える一方で、予約は事実上不可能となっている。チャーター機を運営する米国の「エア・チャーター・サービス」によると、ロサンゼルスから上海までのチャーターでは14席のボンバルディア機を用意し、価格は230万元(約3560万円)。満席なら1人あたり約254万円の計算だ。

 そんな高額運賃を支払っても今後の帰国は困難になりそうだ。というのも、北京ではすでに海外からのチャーター便の運航を全て禁止し、上海も近く同様の措置を取るとされる。さらに米中関係の悪化により「米国で登録されたプライベート機を中国側が着陸を拒否し、米国も中国のプライベート機に同様の対抗措置を取ることになる」(チャーター機運営会社関係者)。

 コロナ感染のピークが過ぎたとされる中国の当局は“新たな震源地”とされる米国からの入国について、自国民でさえ厳しく制限するようだ。