マレーシアの航空会社エアアジア「コロナ破綻」危機 LCCの先駆けも“鎖国状態”では

2020年03月26日 16時00分

アジアの空を安く結ぶエアアジアだが…

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】東南アジアでいち早く、今月18日から外国人を完全シャットアウトし“コロナ鎖国”を始めたのがマレーシアだ。一時期は感染拡大を抑えていたが、モスクでの集団礼拝がクラスターとなったこともあり感染者が急増。2月末は23人だったのが、25日時点で1796人まで増え、東南アジア最多になってしまった。

 国境を封鎖し、22日からは食料など日用品の買い出しを除き、市民の外出は全土で禁止に。警察ばかりか軍まで動員し、厳しく取り締まっている。食料品と医薬品などを売る以外の店は全て閉まり、宗教的行事を含め、あらゆるイベントも中止。イタリアやフランスと同レベルの厳戒態勢は東南アジア初だ。

「なのにリゾート地ペナン島では、外出禁止令発令後も伝統的な市場が人でゴッタ返していると地元紙が報じた。食料を売る店という位置付けで閉鎖しないのだが、買い物客がマスク姿とはいえ濃厚接触しては意味がないと警察が動員され、350のうち250ほどの店に閉店通達が出された」(駐在員)

 そのマレーシアに本拠を置く“LCC(格安航空会社)の先駆け”エアアジアは、アジア全域を網羅し日本路線もたくさんあるが、22日から来月25日まで国際線全便が運休になった。その2日前には、インド・デリー空港に着陸した便で、最前列に座っていた乗客の感染が発覚。危険エリアを避けるため、パイロットがコックピットの窓から機外へ“脱出”という珍事が起きた。

 同社の危機的現状を、航空業界に詳しい関係者が明かす。

「エアアジアでは今、トニー・フェルナンデスCEOとカマルディン・メラヌン会長が、欧州の航空機大手エアバスから5000万ドル(約56億円)の賄賂を受け取っていた容疑で捜査を受けていて休職中。それもあり業績が悪化しているところにコロナときて、17日には株価が10%下落。国際線運休後の23日もさらに10%ほど下落し、経営が危ぶまれている」

 もともとLCCは価格競争が激しく、低価格を売りにした自転車操業の航空会社も多い。エアアジアも例外ではなく、2月には事態を打開するため「1年間乗り放題アンリミテッド・パス」なるものを499リンギット(約1万2700円)で売り出し、日本の旅行マニアの間でも話題になった。

「だがその矢先に国際線が全部運休、アジアのどの国も“鎖国状態”では、乗り放題パスも使いようがない。SNSでは『パス発売当初から運休は織り込み済みで、手っ取り早く経営資金を集める手だったのでは』といぶかる声も出ている」(同関係者)

 アジア圏への旅行や出張の多い日本人におなじみのLCCだけに、破綻となれば対岸の火事では済みそうもない。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。