トランプ米政権が、日本を含む全世界の渡航警戒レベルを4段階中、最も厳しい「渡航中止・退避勧告」に引き上げ、米国人に対し、全ての渡航中止を勧告。もはや世界的に気軽に自国外へ出かけられる状況ではなくなっているが、日本人にとって、アジアの人気観光地であるタイや台湾も遠い存在になりつつある。事実上、行けなくなってしまったのだ。

 タイ保健省は18日、日本の北海道、東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、京都、和歌山、沖縄を、新型コロナウイルスの感染拡大地域に指定。この9都道府県に過去14日間いた人は、タイへの出発前に用意しなければいけないものがある。出発72時間前までに医療機関が発行した、新型コロナウイルス陰性を証明する英文の健康証明書。それと旅行中の医療費を10万ドル(約1090万円)以上保障できる医療保険だ。

 空港でのチェックイン時、これらがないと飛行機に乗れない(日本時間21日午前2時~)。しかし「この健康証明書、日本ではほぼ入手できません。日本はPCR検査の数を絞っているからです」と指摘するのは、本紙コラム「亜細亜スポーツ」でおなじみのライター室橋裕和氏だ。

「実際、私の知人が日本でいくつかの医療機関に問い合わせました。日本でPCR検査を受けるには一定以上の発熱、咳などの症状が必要で『コロナに感染していないことを証明するための検査』はどこもやっていないそう。健康体だという証明書は出せても、コロナ陰性という証明書は出せないようです」

 また、台湾も日本人観光客の入国が事実上不可能になった。19日から渡航警戒レベルが最大の3に引き上げられ、日本人への90日間のビザ免除が当面停止に。事前にビザを申請し入国しても、14日間は政府指定施設または現地の自宅にこもり、外出も出国も禁じられる。公共交通機関の利用もダメで、違反すると最大100万元(約350万円)の罰金が科される。

 タイも台湾も親日国として知られるが、コロナ禍にはあらがえなかった。