新型コロナウイルスの影響で、全国で開催される北海道物産展が次々と中止になり、道内の食品業界が過剰在庫に追い込まれる危機に陥っている。

 北海道物産展は、都内では同時期に複数の会場で開催されるほどの人気ぶり。毎年、全国各地の百貨店などで開催される。

 物産展には本州などへ食品を送って対応する。担当者のある男性は「会場はいろんな場所にあるので、年に休みが3日しかなかったこともある。物産展はどの都市でも好評で需要が高い。多くの人が訪れるので、まさにドル箱。中止の損失は大きい」と話している。

 急な中止となると、事業者は販売予定だったカニ、サケなどの生ものや、賞味期限が近い乳製品など、食品の在庫を抱えることになる。その中には今は人が激減した空港に出店し、大量の在庫を抱えている事業者もある。

 そこで札幌商工会議所のホームページでは「緊急在庫処分SOS!」という掲示板を設け、事業者の情報などを発信。減少した売り上げの回復、販路の確保を目的としており、十勝ハーブ牛は特別価格で提供され、ジンギスカン用のセットなどもセールの対象となっている。

 また、物産展が中止となった愛知の百貨店「ジェイアール名古屋タカシマヤ」のホームページには、出店予定だった店の通信販売を紹介している。

 一方で、神奈川の百貨店「さいか屋 藤沢店」では、この時期だからこそあえて物産展を実施。スタッフはマスク、手袋を着用し、毎朝検温を行い、試食を禁止にする措置もとった。集団感染などが発生しないよう、衛生管理のレベルを上げて接客している。

 毎年、都内の北海道物産展を訪れるある男性は「楽しみにしていたので、中止は残念。でも、わざわざ会場に行かなくても、通販で特別価格のおいしいカニを食べられると知った。ぜひ利用したい」と話している。

 ピンチはチャンスになるということだろうか。