ついにEU“鎖国”の断末魔…「欧州旅行できない」「ここまでやるか」の声

2020年03月17日 16時20分

ドイツ・フランクフルトに駐機状態のルフトハンザ機。旅行業界もコロナ禍に直撃された(ロイター)

 世界が凍りつく…。新型コロナウイルスの感染が地球規模で深刻化し、各国で入国規制などが広がる中、大規模な対策が持ち上がった。28か国が加盟する欧州連合(EU)が非EU市民について、不要不急の理由でEU入りするのを30日間禁止する方針を加盟国に示し、17日の緊急EU首脳会議で承認を得られれば実施する。日本では「ヨーロッパ旅行ができなくなるのか」との声も。相次ぐ入国・入境規制には乱用を戒める提言も専門家から提言された。

 非EU市民による30日間の不要不急の入境禁止方針は、EUのフォンデアライエン欧州委員長が16日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため加盟国に示した。延長も可能。17日夕のビデオによる緊急EU首脳会議の承認を得た上で実施へ。イタリアを筆頭に欧州が世界の感染拡大の中心となる中、異例の厳しい措置で収拾を急ぐ。

 フォンデアライエン氏は16日の記者会見で「人の出入りが少なければ、ウイルスをより抑え込むことができる」と説明。域内に長期居住している非EU市民や外交官、ウイルス感染対策に携わる医師や研究者は禁止措置から除外するとした。EUを離脱し、移行期間中の英国の市民らも入域可能とする考えだ。

 欧州各国を網羅するEU。主な非加盟国はスイス、ノルウェー、セルビア、トルコ、アイスランド、ジョージア、ウクライナといった国々で、今回示された方針が実施されれば、日本人など非EU市民は不要不急の理由がない限りは、こうした非加盟国以外の入国ができなくなる。

 ただ、EU諸国との出入国管理を廃止した「シェンゲン協定」に加わる4か国も対象のため、前出の主な非加盟国のうちスイスやノルウェー、アイスランドなども同様の扱いに。相当な厳しい措置で、ビジネスや観光への悪影響は必至。感染拡大で既に欧州経済に大きな影響が出ているが、一層深刻化しそうだ。

 このニュースに日本では「このインパクトは大きい」「ここまでやるのか」「ヨーロッパ旅行ができなくなる」などの反応がネット上でみられるなど、反響は大きい。

 新型コロナの感染拡大とともに、入境・入国規制は世界的に広がっている。すでに欧州から30日間の入国禁止に踏み切った米国は、当初除外していた英国とアイルランドにも対象を広げた。カナダも16日、自国民や永住者以外の入国を原則禁止するとトルドー首相が発表した。欧州ではドイツが、フランス、オーストリア、スイスなど各国との国境で入国制限を始めることを明らかにしている。新型コロナ対策という名分の下、各国が壁をめぐらす格好だ。

 確かに、世界の感染状況は深刻だ。とりわけイタリアでは16日、死者が前日から349人増え2158人に達した。中国以外で死者が2000人を超えたのはイタリアが初めて。感染者は2万7980人となった。日本外務省は同日、リグリア州などイタリア北部4州の感染症危険情報をレベル3に引き上げ、渡航中止を勧告した。

 感染者急増のスペインは1万人に迫る。こうした現状に先進7か国(G7)首脳は同日、緊急テレビ電話会議後に共同声明を出し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は「地球規模の健康危機で、世界経済に重大なリスクをもたらしている」と指摘した。

 一方、相次ぐ入国制限には世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏が「包括的な感染拡大策の一つに過ぎない」と述べ、乱用は避けるよう訴えた。各国が入国制限で満足してしまい、国内での感染拡大防止の取り組みがおろそかになることを懸念した発言だ。

 EUが振るおうとしている“大ナタ”に、日本のネット上では「この30日が山場ということなのか」「これが最後の希望なのか」といった受け止めも。世界が欧州の闘いを見守る。